2000字程度のレポートならば、1時間で90点を取れます。
誤解を恐れずに言えば、学部生のレポートを真面目に評価する教員は非常に稀です。研究室や院生のレポートならまだしも、一般教養の講義ならば機械的に評価をしている教員の方が圧倒的に多い。
そのため、次の3つのポイントさえ抑えれば、比較的簡単に高評価を得ることが出来るのです。
今回は上記3つに注目して大学生のレポートの書き方を詳しく解説します。
レポートの見た目を整える
レポートに限らず、教員に絶対的な公平を求めてはいけません。
教員も人間なのです。礼儀正しい学生は優遇するし、タメ口で話しかけてくる学生は疎ましい。同じように、しわくちゃで汚れているレポートなんて評価する気にもならないのです。
レポートを提出する際は次の4点に注意して「綺麗なレポート」を心がけてください。
- 表紙を付ける
- ホチキスで左上を固定
- シワや汚れを付けない
- 参考文献を明記する
1つずつ詳しく解説します。
表紙を付ける
レポートに表紙を付けるのは常識です。
教員に「必要ない」と指定されない限りは必ず付けてください。データ提出の際も同じです。
表紙のデザインに明確な決まりごとはありませんが、
- 講義名
- 担当教員名
- レポートの題名
- 提出日
- 学部
- 学科
- 学籍番号
- 名前
などを記載しておくのがベター。
また、大学指定のレポート表紙があるのなら、それを利用してください。
ホチキスで左上を固定
複数枚のレポートを提出する際は、左上をホチキスで固定してください。
ホチキスの位置にこだわりがある教員もいますが、原則は「左上」で問題ありません。もし、別の場所を指定されたのなら、教員に従うのが正解。
また、針なしステープラーは便利ですが、あまり良い気はしない。クリップはまだ"あり"。
稀に、レポートの角を折り込んでいる学生もいますが、それをするくらいならば各ページに名前を書いた方が良い。
シワや汚れを付けない
シワや汚れが付いたレポートは印刷し直すのが無難です。
また、レポートに限らず、書類関連は「クリアファイル」に入れて持ち運ぶ習慣を身につけておいた方が良い。
それほど効果がないようにも見えますが、クリアファイルに入れておけば大惨事になることはほとんどありません。
参考文献(引用)を明記する
参考にした文献がなかったとしても、参考文献は書いた方が良い。
誤解を恐れずに言えば、参考文献は多ければ多いほど「真面目に書いたんだな…」という印象を持ちます。反対に、参考文献が全くないレポートの評価は低くなりがちです。
そのため、仮に何も読んでいなくとも、キーワードをアマゾンで検索して関連書籍を1つ2つ書いておくと良い。
レポートのお題は「狭く深く」設定する
お題の設定は、狭ければ狭いほど良い。
そもそも、学部生のレポート課題は自由度が非常に高いことが多い。例えば、
「現代の大学の在り方について、自由に論ぜよ(2000字)」
こんな課題です。
ここで文字通り「現代の大学教育」に関して書くのはNG。いや、絶対にダメな訳ではないのですが「1時間で90点」を目指すのならば避けた方が良い。
具体的には、
- 大学の就職予備校化
- 勉強しない大学生
- 大学の乱立
- 留年率の増減
- 奨学金問題
など、自分でお題を設定してレポートを書くのです。
広いお題は内容が薄くなる
広すぎるお題では、内容のあるレポートを書くことが出来ません。
先ほどの例、
「現代の大学の在り方について、自由に論ぜよ(2000字)」
この中に「就活」「奨学金」「留年」…と全てのトピックを語ることが出来るでしょうか?仮に出来たとしても、全ての項目で上辺だけを説明した劣化版ウィキペディアみたいになりがち。
自分の意見を述べないレポートに点数が付くことはありません。
狭いお題はレポートが書きやすい
勘違いしている学生が多いのですが、お題は狭いほど書きやすい。
理由は非常にシンプルで「調べることが少なくて済む」からです。いくつもの文献やウェブサイトを見る必要はありません。「奨学金」なら奨学金だけを調べ、「留年」なら留年だけを調べれば良い。
加えて、狭いお題の考察は必然的に深くなります。
一点を深く掘り下げることによって、他の学生との差別化を図ることも出来るのです。
タイトルも「狭いお題」にする
何が書いてあるか分からない文章を読むのは苦痛です。
もし、レポートのタイトルが、
【NG例】
現代の大学の在り方について
だけだったら、具体的に何について書いてあるか分からない。もちろん、しっかり読み込めば分かるでしょうが、何十人何百人ものレポートを評価する教員が、そんな手間をかけてくれると思ってはいけません。
タイトルは「何が書いてあるか一目で分かる」が基本です。
そうすることによって、レポートの分かりやすさは飛躍的に向上します。もし、勝手にタイトルを変更することが気になるのであれば、タイトルの下にレポート課題を小さく明記しておけば問題ありません。
【OK例】
大学の就職予備校化を止める方法
レポート課題
現代の大学の在り方について自由に論ぜよ
レポートの文章構成は定型
文章構成は定型だけを覚えておけば使いまわせます。
具体的に言えば、
- 序論
- 本論
- 結論
この3つ。
それでは、先ほど紹介したレポート課題、
大学の就職予備校化を止める方法
レポート課題
現代の大学の在り方について自由に論ぜよ
を実際に書きながら、文章構成を解説していきます。
レポートの序論
序論は、レポートの書き出し部分です。
- 何を考察するのか
- なぜ考察するのか
- 論点、問題点は何か
などを書いていきます。
具体的な文字数は決まっていませんが、全体の10%〜25%ほどを使うと上手くまとまります。
【タイトル】
大学の就職予備校化を止める方法
【序論の例】
大学の就職予備校化が問題になっている。本来は「学術研究機関」或いは「高等教育機関」である大学が就職のための準備機関でしかなくなっているというのだ。ただ、現役学生の観点から見ると、この指摘は正しくない。正確に言えば、「文系学部は就職予備校化しているが、理系学部は学問に打ち込んでいる」のだ。では、なぜ文理でこれほどまでに差が生まれるのか。どうすれば、文系学部生も学問に打ち込めるのか。
レポートの本論
本論は、レポートにおける主張や調査を述べる部分です。
- 自分はどう考えたのか
- 他者はどう考えているのか
- どんなデータがあるのか
などを書いていきます。
本論はレポートの主役のため、全体の60%〜80%を使ってしっかりと書き込んでいきます。
【タイトル】
大学の就職予備校化を止める方法
【本論の例】
キーワードは「新卒一括採用」だ。日本における就職はいまだに「新卒一括採用」が根強く、新卒時点で就職に成功しなければ後のキャリアプランに躓いてしまう。そのため、大学生は在学中に新卒就活に向けた行動を起こさざるを得ない。これが「就職予備校化」の根本的な原因だ。
では、なぜ理系学生は学問に打ち込めるのかと言えば、理系学生には推薦制度が存在するからだ。在学中、就活に打ち込まずとも専攻科目を突き詰めていけば「学校推薦」「学部推薦」という形で就活成功への道が開ける。もちろん、100%の成功が保証される訳ではないが、推薦制度が存在しない文系学生に比べれば切迫感が大きく異なる。その証拠に、内定に繋がるインターンの参加率は「文系学生平均2.9社」「理系学生平均2.2社」と大きな開きがある。
以上のことから就職予備校化の解消に向けては2つの方法が存在することが分かる。
1つは「新卒一括採用の廃止」だ。欧米諸国においては、新卒一括採用を行わず卒業後一定期間のインターンの末に採用を行う国が多い。学生活動と就職活動期間を明確に区分することによって、在学中は就活に翻弄されることがなくなる。文系学生も、理系学生も、時間に余裕を持って伸び伸びと学問に打ち込むことが出来るのだ。
もう1つは「文系学生への推薦制度の設定」だ。そもそも、現代の文系就職は採用区分が大雑把すぎる。企業には、営業、経理、総務、法務、と数多くの部署が存在するにも関わらず、新卒採用区分は「総合職」で一括りになり、文系学問の軽視が続いている。在学中の専攻とは全く関係のない部署に配属されることも決して少なくない。理系の新卒就職や、中途採用と同じように、部署ごとの採用に舵を切り、文系学生にも専攻科目を活かせる採用を進めれば、就職予備校化の流れに歯止めをかけられるのは間違いない。
レポートの結論
結論は、レポートの締めの部分です。
- レポートの総括を短く書く
- 今後の課題をまとめる
が出来れば完璧です。
文字数は、バランスを整えつつ10%〜20%でまとめれば問題ありません。
【タイトル】
大学の就職予備校化を止める方法
【結論の例】
大学の就職予備校化を止めるためには「新卒一括採用の廃止」と「文系学生への推薦制度の設定」が重要になる。ただ、この2つを実行する弊害も忘れてはいけない。新卒一括採用を廃止すれば、時間とお金に余裕のある学生の優位性が増す。文系学生への推薦制度を設定すれば、哲学科や日本史科などの営利に関係ない専攻科目の就職が厳しくなる。大学の就職予備校化が正しいことだとは思わないが、これも日本の文化が行き着いた1つの形がであることも忘れてはいけない。
まとめ
レポートを書くポイントは3つ。
- 見た目を整える
- お題は狭く深く設定する
- 文章構成を覚える
最後に、以上3つを抑えたレポートの例を掲載しておきます。レポート課題は、
「現代の大学の在り方について自由に論ぜよ」
です。
【タイトル】
大学の就職予備校化を止める方法
【レポート本文】
大学の就職予備校化が問題になっている。本来は「学術研究機関」或いは「高等教育機関」である大学が就職のための準備機関でしかなくなっているというのだ。ただ、現役学生の観点から見ると、この指摘は正しくない。正確に言えば、「文系学部は就職予備校化しているが、理系学部は学問に打ち込んでいる」のだ。では、なぜ文理でこれほどまでに差が生まれるのか。どうすれば、文系学部生も学問に打ち込めるのか。
キーワードは「新卒一括採用」だ。日本における就職はいまだに「新卒一括採用」が根強く、新卒時点で就職に成功しなければ後のキャリアプランに躓いてしまう。そのため、大学生は在学中に新卒就活に向けた行動を起こさざるを得ない。これが「就職予備校化」の根本的な原因だ。
では、なぜ理系学生は学問に打ち込めるのかと言えば、理系学生には推薦制度が存在するからだ。在学中、就活に打ち込まずとも専攻科目を突き詰めていけば「学校推薦」「学部推薦」という形で就活成功への道が開ける。もちろん、100%の成功が保証される訳ではないが、推薦制度が存在しない文系学生に比べれば切迫感が大きく異なる。その証拠に、内定に繋がるインターンの参加率は「文系学生平均2.9社」「理系学生平均2.2社」と大きな開きがある。
以上のことから就職予備校化の解消に向けては2つの方法が存在することが分かる。
1つは「新卒一括採用の廃止」だ。欧米諸国においては、新卒一括採用を行わず卒業後一定期間のインターンの末に採用を行う国が多い。学生活動と就職活動期間を明確に区分することによって、在学中は就活に翻弄されることがなくなる。文系学生も、理系学生も、時間に余裕を持って伸び伸びと学問に打ち込むことが出来るのだ。
もう1つは「文系学生への推薦制度の設定」だ。そもそも、現代の文系就職は採用区分が大雑把すぎる。企業には、営業、経理、総務、法務、と数多くの部署が存在するにも関わらず、新卒採用区分は「総合職」で一括りになり、文系学問の軽視が続いている。在学中の専攻とは全く関係のない部署に配属されることも決して少なくない。理系の新卒就職や、中途採用と同じように、部署ごとの採用に舵を切り、文系学生にも専攻科目を活かせる採用を進めれば、就職予備校化の流れに歯止めをかけられるのは間違いない。
大学の就職予備校化を止めるためには「新卒一括採用の廃止」と「文系学生への推薦制度の設定」が重要になる。ただ、この2つを実行する弊害も忘れてはいけない。新卒一括採用を廃止すれば、時間とお金に余裕のある学生の優位性が増す。文系学生への推薦制度を設定すれば、哲学科や日本史科などの営利に関係ない専攻科目の就職が厳しくなる。大学の就職予備校化が正しいことだとは思わないが、これも日本の文化が行き着いた1つの形がであることも忘れてはいけない。
【参考文献】
「大学キャリアセンターのぶっちゃけ話」
沢田健太 SBクリエイティブ 2011/10/14
「就活のバカヤロー」
大沢仁 石渡嶺二 光文社 2011/08/05
「2017年度マイナビ学生インターンシップ調査」
https://www.mynavi.jp/news/2017/11/post_16146.html 2017/11/16
学部生のレポートならば、これで充分です。
上記のレポートは引用をほとんど用いていないので、もう少し字数が欲しい場合は、
- 書籍からの引用
- 上記に対する自論
を足していけば簡単に文字数は稼げます。
また、繰り返しになりますが、今回のレポートの書き方は「一般教養の課題レポートを1時間で書く」を想定しています。ゼミの卒論や、理系の実験レポートとは勝手が違うため、本気でレポートの書き方を学びたい方は以下の書籍をご覧ください。
「大学生はこれを見ろ」のTwitterでは、レポートの書き方などの情報を普段から発信しています。
大学生活を賢く送りたい方は、こちらもフォローしてみてください。
期末レポートが加速する時期ですが、
【1】お題は狭く深く
→浅く広く論じると劣化版ウィキペディアになる。論点を絞って、自分の意見を書け。【2】タイトルは自分でつける
→課題名とレポートタイトルは違う。内容に合ったタイトルをつけろ。迷ったら、この2つだけ抑えろ。評価が上がる。
— 大学生はこれを見ろ (@daikoree) July 15, 2020
この記事は大学生の単位の取り方講座の【第3回】です。
他の講座をご覧になりたい方は以下からどうぞ。
【第1回】
卒業単位はいつまでに取るべきか
【第2回】
講義の感想の書き方
【第3回】(今のページ)
大学生の基本的なレポートの書き方
【第4回】
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