日本の就活において「新卒」ほど有利な資格は存在しません。
まだ就活を経験していない学生の方には伝わりづらいかもしれませんが、30歳を超えてから転職、就職するのは本当に大変です。
- 学歴
- 経験
- 能力
- 前企業でのポジション
- 前企業での収入
- etc
ありとあらゆる要素で自分自身を値踏みされ、「良い企業」に入社することは難しい。
ところが、「新卒」は違います。
学歴によるフィルター分けがあるとは言え、地方のFランだろうが東大だろうが同じ面接を受けることも出来る。現在の能力ではなく「将来の可能性」を評価してくれるのです。
ただし、
「じゃあ30歳で大学に入学すれば、卒業時34歳で『新卒』だ!」
が正しいかと言われると、そんな訳がない。いくら「新卒」と言っても、一定の年齢制限が存在するのです。
そこで今回は、卒業が遅れた場合の就活について解説します。
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就活における年齢制限
企業や業界にも依るので一概には言えませんが、
- 新卒文系総合職は「25歳」
- 新卒理系総合職は「29歳」
あたりをボーダーラインと考えるのが一般的です。
文系、理系に分けて解説します。
新卒文系総合職は「25歳」まで
新卒文系総合職は「25歳」まで。
ストレートの学部卒より3年遅れまでは通常の新卒就活を行うことが出来ます。
理由は後述しますが、企業は高齢新卒を避けたい。とは言え、現代では浪人も休学も珍しくありませんし、ストレートの学生だけを採用するなんて不可能です。
そこで基準になるのが「院卒プラス1年」という考え方。
文系大学院はもちろん、理系大学院卒業でも、就職先に文系総合職を選ぶ学生はたくさんいます。そういった学生を考慮すると、3年遅れまでがボーダーになりやすい。
ウェブ上では「3年遅れたら文系は詰み!」みたいな噂話も多いのですが、そんな訳がない。
浪人して文系大学院行ったら終わりじゃねえか。
新卒新卒理系総合職は「29歳」まで
新卒理系総合職は、年齢制限があってないようなものです。
博士過程まで行けばストレートでも27歳。そして、「将来の可能性」を重視する文系総合職とは違い、理系総合職はそれまでの実績や経験を考慮しての採用になります。
そのため、分野によっては「31歳新卒入社」も普通にいます。
ただ、理系就職の多くは「学校推薦」を利用して就活を行いますが、「学校推薦」は成績や年齢を求めることが多い。
そのため「浪人」や「休学」は比較的問題ないのですが、「留年」だと就職の難易度は上がります。
「留年」や「休学」「浪人」がマイナスにならない訳ではない
ただ、勘違いしないでください。
「3年遅れまで大丈夫」は「マイナス評価にならない」という意味ではありません。「年齢を理由に弾かれることはない」という意味です。
あなたの能力次第でプラマイゼロに持っていくことは充分に可能。
ただ、基本的にはマイナスなのです。
理由のない遅れは嫌がられる
「勉強する気がおきなくて、2回留年しました」
「働くのがイヤだったので、3年休学しました」
こんな学生は問答無用で落とされます。当たり前の話です。
卒業が遅れたことではなく、そこにたどり着くまでの過程が評価できません。
理由のある遅れは評価される
「在学中に学びたいことが変わったので、転部して2年遅れました」
「家庭が裕福ではなかったので、高校卒業してから3年間働いて学費を貯めていました」
こういった学生は年齢によるマイナス評価はなくなり、ストレートの学生と同じ土俵に立つことが出来ます。
「理由のある遅れ」は正当に評価されるのです。
ボーダーを超えても就職はできる
「じゃあ、新卒文系で4年以上遅れたら就職できないの!?人生おわり!?」
そんな訳でもありません。
社会人を経て大学に入る人もたくさんいますし、働き口はいくらでもあります。
ただ、端的に言えば「通常の新卒就活」は難しくなります。
「新卒就活」は横並びの学生が欲しい
日本の採用方針は「新卒一括採用」が基本です。
時代は変わりつつあるとは言え、諸外国に比べると中途採用は少なく「若者をまとめて採用して育てていく」が人材登用のベースとなっています。
そのため、イレギュラーな学生はあまり望まれない。
今回の例で言えば、年次と年齢が大きく逆転する採用は避けたいのです。研修制度や先輩後輩の関係がやりづらくなりますから。
「新卒就活」以外の就職先を探す必要がある
逆を言えば、「通常の新卒就活以外」ならば働き口はいくらでもあります。
例えば、外資系企業では新卒採用の年齢はあまり気にされません。外資系の採用方針を真似始めているIT系でも年齢制限は緩い。
新卒一括採用が固まっていないベンチャー企業も良いですし、長期インターンから正社員登用を目指す道もある。
- 中途入社の「未経験可」を狙う
- 特殊技能があるなら活かす
- ハローワークで高齢求人を探す
- コネを使う(作る)
- etc
日本が高齢新卒に厳しい環境であることは否定しませんが、「通常の新卒就活」に拘らなければいくらでも就職先は存在します。
卒業が遅れたときの言い訳
繰り返しになりますが、
- 文系総合職ならば25歳まで
- 理系総合職ならば29歳まで
このラインまでならば、ストレートの学生と同じように就活を行うことが可能です。
ただ、面接では必ず聞かれます。
「どうして、卒業が遅れたの?」
と。ここで上手く答えられなければ、面接の結果は不合格です。卒業が遅れたことが悪いのではありません。あなたが無能なのが悪いのです。
とは言え、卒業が遅れることに正当な理由がある人の方が少ない。
せっかくなので、
- 浪人
- 休学
- 留年
の3パターンに分けて、卒業が遅れることへの的確な言い訳を解説します。
浪人の場合
浪人を含め、入学前の空白期間を追求する面接官はあまりいません。
- 一浪なら、ほぼノータッチ。
- 二浪なら、時と場合に依る。
- 三浪なら、話題には上げる。
くらいのものです。どれも責めている訳ではありません。面接の話題作りとして聞いているだけです。
普通に答えてください。
【回答サンプル】
「受験の結果に納得いかなくて」
「学費を稼いでいたので」
休学の場合
近年増えているので、こちらも大した問題ではない。
ただ、浪人とは違い、休学は「入学してからの空白期間」のため「何をしていたのか?」は必ず聞かれます。
留学やインターンなどの明確な理由があれば、その内容をしっかり話してください。
何となく休学していた場合は、休学した学年によって、
- 大学に興味を持てなくなり、休養期間が必要になった
- 卒業後の進路を真剣に考える必要があった
などと答えれば大丈夫です。
【回答サンプル】
「留学してたので」
「卒業後の進路を決めきれなかった」
留年の場合
留年は、大きな問題です。
一留だろうが三留だろうが本人の怠慢である確率が高い。どうやってもマイナス評価は避けられません。
ただ、合否を決定付けるほどではない。その他の要素がしっかりしていれば、充分に内定は狙えるレベルです。
そして、言い訳のポイントは「言い訳しないこと」
もちろん、正当な理由があれば伝えるべきですが、大した理由がないのであれば、中途半端に言い訳せずに反省の意を伝えた方が有効です。
【回答サンプル】
「自分の不真面目ゆえの留年。恥ずかしながら、留年してから初めて反省した。それからは真面目に大学生活を送り〜(略)」
まとめ
- 文系総合職は卒業時25歳まで
- 理系総合職は卒業時29歳まで
業界や企業にも依りますが、年齢だけで弾かれるボーダーはこのあたりです。
また、3年までの遅れなら年齢で弾かれることはありませんが、採用側の目が厳しくなることは否定できません。
そのため、理系文系問わず、ストレートより遅れている学生は早め早めの準備を心がけることを忘れないようにしてください。
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