就職か起業か
こんな質問を頂きました。
はじめまして。入学当初から大これを拝見している(大学名)2年生のものです。今回は進路のことで質問があり、はじめてご連絡させて頂きました。
(中略)
現代は就職だけが人生の選択肢ではないと思い、卒業後の進路に「会社経営」や「個人事業主」なども視野に入れて準備を進めていきたいと考えています。
しかし、お恥ずかしい話なのですが、自分が何に向いているか分からず、どの方向に向かって準備をすれば良いか全く分からない状態です。
そこで私の性格や特徴を管理人様にお伝えして、私がどちらに向いているのかを指摘して頂きたいのです。
私の特徴を挙げてみます。
・友人は多い
・コミュ力には自信がある
・サークルはスポーツ系を2つ掛け持ち
・頭の回転は早い方
・なるべく早い段階で年収1000万円を突破したい
・業種職種に特に拘りはない
・etcetcetc
(中略)
答えづらい質問かもしれませんが、よろしくお願いします。
当サイトでは何度か解説していますが、私の基本方針は「万人にオススメなのは就職。だけど、就職だけが人生じゃない」というものです。
【参考記事】
知っておかないと損をする!大人が「新卒で絶対に就職しなさい」という本当の理由。
ホリエモン「正社員にはならない方が良いよ」→大学生「そうか!じゃあ就活やめよう!」いやいやそれはおかしい。
就活にやる気が出ない学生へ。たまには「就職しない生き方」について語ろうか。
それを踏まえて、質問をくれたこの学生。2年生のときから将来を見据えて行動することは良いことですし、一般的な「就活」だけでなくそれ以外の選択肢にも目を向けていることは評価できるポイントです。
しかし、メッセージを見た限りでは「どちらが向いているか」なんて論ずるまでもありません。
就職です。それも、ほぼ100%。
この学生には独立(就職しないで生きていく)に必要な「自分で考え、自分で決める」という能力が欠如しています。
「就職」は「野球部で甲子園を目指す」みたいなもの
「就職」は「野球部で甲子園を目指す」みたいなものです。
1年生として野球部に入団する。当然まともな野球部ならば先輩や監督が熱心にあなたを指導してくれます。
「素振りをしろ」
「走ってこい」
「チームメイトと上手くやるコツは…」
当然、甲子園に出るためには努力や才能が必要ですが、努力の方向性を考える必要はありません。
ここが「就職」の最大の特徴です。
「独立」と比べると「就職」は努力の方向性を考える必要がないんです。
野球で甲子園を目指す、先輩後輩は揃っている、指導者もいる、練習法も決まっているetc
あなたに残された選択肢は「実直に積み重ねること」だけ。
もちろん「どんな風にモチベーションを維持するか」「練習の意味をしっかりと理解する」などの自由はありますが、あくまでも「枠組みの中での自由」であることは否定できません。
また、最悪あなたが結果を出せなくてもチームが優秀ならば甲子園に出場することは出来る。それでも、あなたは「甲子園出場チームの一員」として一定の地位を得ることになるのです。
「独立」は「1人で全国大会に出る」みたいなもの
対して、「独立」は「何でも良いから1人で始めて全国大会に出る」みたいなものです。
まず考えるべきは「どの種目で全国大会を目指そうか」です。そこからなんです。
運動系か、文化系か…。いや、そもそも自分は「選手」なのか「監督」なのか。資金はゼロから始めるのか。まずアルバイトをして資金を作ってから始めるか…。
「就職」に比べると「独立」は努力の方向性を決めることに甚大な労力が必要になります。
そりゃそうです。どれだけ努力を積み重ねても方向が間違っていては何の結果も出せないのですから。
そして、この「方向性を決めること」は「独立」の最大の特徴であり、最大のストレスポイントです。
業務内容、社員の雇用、事務所等の設備etc
自営業者は全てを自分で決めなければいけません。そして、方向性を間違えればどれだけ頑張っても驚くほど簡単に失敗してしまう。
そのストレスでハゲていく(比喩ではなく)人は数えきれません。
それでも、1人で決めなければならないのです。最善の策を、出来るだけ早く。
人に聞いている時点でダメだ
私の元には一定の頻度で似たような質問が届きます。
「就活すべきか?」
「自営業は大変ですか?」
「◯◯で起業しようと思うのですが…」
内容は様々ですが、自信を持って背中を押せるのは、
「◯◯がしたい!どうすれば良いですか?」
という「やることを前提とした質問」だけです。就職せずに生きていくのに向いているのは方向性を自分で決められる人物なのですから。
それ意外の質問には一通り答えたあとで「やめた方が良い」と付け加えます。残念ながら、自分の方向性を自分で決められない人に先天的な独立の才能はありません。
まず、日常の中で自分で決めることを意識するのです。
「決断疲れ」なんて言葉があるように、決断には大きな労力を伴います。それが人生を左右することとなれば、その負担は相当なものです。
そして、その負担に耐えられない人間は自営業に向いていない。
まとめ
「独立」や「起業」に最低限の必要な能力は「自分で考え、自分で決めること」です。
もちろん、業種や職種によってその上に必要な能力は異なります。大前提として「自分で決められなければ話にならない」ということです。
先々、独立を意識している人は自分で方向性を決めることが意識して生活してみると良いでしょう。
本当に疲れます。