過程と目的
「過程が目的になっている」
こんな言葉、聞いたことはありますか?
聞いたことがある人は多いかもしれません。しかし、本質的な部分で理解している人はどれだけいるのでしょうか。
大学生は大なり小なり「目標」や「願望」「目的」を持っています。
モテたい、お金を稼ぎたい、お洒落になりたい、スポーツで結果を出したい、賢くなりたいetc
そのために努力をしている人も多いでしょう。
だけど、本当に目的を実現させるために行動していますか?過程で満足してはいませんか?
【例】読書
半年ほど前でしょうか。Twitterのタイムラインにこんなツイートが流れてきました。
「知識不足を痛感した…決めた!今年中に100冊本を読む!」
プロフィールを見てみると、ビジネス意識の強い大学生です。読んでいる本も「販売心理」や「マーケティング」などのビジネス本ばかり。
その数日後、同じ学生がこんなツイートをしていたのです。
「本棚買ってきた。今年中にこの本棚を埋めるぞー」
嫌な予感がしました。既にこの学生の意識は「本を読んで知識を付けること」よりも「本棚を埋めること」に向いています。
そして、つい先日。「本棚がもうすぐ埋まる。目標達成」というツイートを見かけました。本の内容についての言及はほとんど見当たりません。
私が言いたいこと、分かりますか?
何のために本を読むのか
この学生は何のために本を100冊読もうと思ったのでしょうか?
直接聞いた訳ではありませんが、十中八九「知識を付け、ビジネス能力を高めるため」です。そのために多種多様な本を読み込み、インプットしようとしたのでしょう。
ところが、途中からは「本を読むこと」が目的になりました。「知識を付ける」という目的の"過程"に過ぎなかった「読書」が目的になってしまったのです。
さらに言うなら、最終的に「読書」のさらに下の"過程"である「本棚を埋めること」に意識が向いています。
「結果は同じだから良いじゃん」ではありません。過程が目的に変わることは本来の目的達成の最大の敵なのです。
過程を重視してしまう
繰り返しになりますが、当初の目的は「知識を付けてビジネス力を向上させる」だったはずです。
では、この大学生に「絶対にビジネス力が向上するセミナー。参加費1万円」の知らせが届いたとします。(怪しさ満載ですがそれは置いといて)
1万円は大学生にとっては大金です。それに、1万円もあれば本を10冊近く読める。
本来の目的を忘れていなければセミナーに参加すべきです。本を10冊読むよりも有益な知識を得られる可能性が高い。
しかし「読書」が目的になっていると、当然セミナーは断るでしょう。だって、本が読めなくなるから。
このように、過程が目的になっていると、本来の目的に繋がる道を見つけても進むことをためらってしまうのです。
結果を出してないのに、満足する
「知識を付けること」さらに言うなら、その先にある目的は「ビジネスの世界で結果を出すこと」です。
となれば、学生時代に満足することは難しい。本を読み、知識を付け、結果を出すことを在学中に実現するためには学生時代は短すぎる。
ところが、「読書」が目的になっていると、本を読んだ時点で満足してしまう。間違った自信が付いてしまう。まだ何も成し遂げていないのに。
立派な意識の高い学生(笑)の完成です。
日常に溢れる「目的」と「過程」の混同
ダイエットのためにランニングを始めたのに、お腹が減った分余計に食べる。
健康のためにタバコをやめたのに、お酒の量は増える一方。
お金を稼ぐために夜の仕事を始めたのに、ストレスで散財する。
恋人へのプレゼントを奮発するためにバイトを増やしたのに、すれ違いが増えてケンカ。
きっとあなたも何かに向けて頑張っていることでしょう。
だけど、「何のために」頑張っているか、ちゃんと理解していますか?
「過程」や「努力すること」に満足してしまっては、本来の目的を達成することは難しいのです。
まとめ
「目的」と「過程」をはき違えると、本当に望んだものに届くことなく終わってしまいます。
大抵の場合、本来の目的地は遠い。実現するためには目の前の階段を一歩ずつ登っていく必要があります。
だけど、たまには自分が何のために頑張っているかを見つめ直さないと、大切なものを見失ってしまうかもしれません。