「新卒採用には『学部フィルター』が使われれるらしい…」
就活の時期が近づくと、大学生の中でこんな噂が流れ始めます。そして、就活に成功した4年生やOBに相談すると、こんな答えが返ってくるのです。
「確かに、会社の同期は経済、経営、法ばっかりだね」
「そういえば、文学部や新設系の同級生は就職決まらなかったかなぁ…」
こうなると現役生は大変です。メジャー学部の学生は余裕に溢れ、マイナー学部の学生は落胆する。
ただ、はっきり言って、学部が就活に直接影響を与えることはありません。
今回は「就活と学部の関係性」をじっくり解説します。
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「学部」によるフィルターは存在しない
「大学名(偏差値)によるフィルターは確実に存在する」
これは紛れもない事実です。以前も解説しましたが、大手企業の採用実績校は有名大学で固められ、学歴フィルターの存在に疑いの余地はありません。
【参考記事】
就活における学歴フィルターと突破方法について詳しく解説する。
となれば、
「学部名(偏差値)によるフィルターも存在する」
と考える気持ちもわかりますが、これは大きな間違いです。
採用活動においてフィルター分けされるのは「大学名」だけ。たとえ、「中央大学法学部」と「中央大学文学部」で偏差値が10近く離れていても、企業から見れば同じ「中央大学卒」なのです。
理由は主に2つ。
- フィルターの目的は「効率化」である
- 企業は多様な人材を求めている
それでは、1つずつ解説します。
フィルターの目的は「効率化」である
企業も、「偏差値と優秀さは、確実に比例する」なんて考えている訳ではありません。
あくまでも確率の問題なのです。
- 100人の東大生
- 100人の無名大生
「この200人の中で、最も優秀な学生がどちらにいるかは分からない。しかし、上位50人ならば、東大生が大半を占めるだろう」
そう考えた結果、書類選考の段階で無名大学の学生を落とすのです。何百人もの採用を行う企業が、何万人もの学生を1人1人見ている時間はない。
「徹底的な効率化」 それが学歴フィルターの正体です。
ところが、学部フィルターなんて実施すれば、今度は別の手間がかかります。
学部による偏差値は毎年変わる。誰が学部を選別するのか。実績のない新設学部はどうするのか。
学歴(学校名)フィルターまでが丁度良い効率化なのです。
企業は多様な人材を求めている
企業が掲げる基本方針は「優秀な学生が欲しい」と「多様な学生が欲しい」です。
先に紹介した「学歴フィルター」すら絶対のものではありません。採用の大部分を高学歴で固める大手企業でさえ、インターンやOB訪問、体育会から無名大学の学生を採用しているのです。
有名大学からも欲しいし、無名大学からも欲しい。
体育会からも欲しいし、体育会以外からも欲しい。
革新的な学生も欲しいし、保守的な学生も欲しい。
メジャー学部からも欲しいし、マイナー学部からも欲しい。
当たり前の話です。
マイナー学部の就職が悪い本当の理由
「うちの学部から大手企業に行った人は少ない」
「大学全体から見ると就職率が悪い」
そういった理由から文学部や教育学部の就職が弱いと考えている人は多い。
確かに、結果だけを見れば、
【就職実績が良い】
経営、経済、法、その他人数の多いメジャー学部
【就職実績が悪い】
文、教育、新設学部、その他人数の少ないマイナー学部
こうなることは多い。
ただ、それは「学部」が原因なのではありません。「学部にいる人」が原因なのです。
人数の差
「就職実績を見たけど、メジャー学部の方が大手企業に行った人が多かった!」
学部別の就職実績を見ると、
【メジャー学部】
大企業A、大企業B、大企業C、大企業D、大企業E、中小企業F、中小企業G
【マイナー学部】
大企業H、大企業I、中小企業J
こんな風になってることは多い。
理由は非常にシンプルでメジャー学部の方が人数が多いからです。
1学年500人以上の学生がいるメジャー学部と、100人以下のマイナー学部、どちらが「大企業に行った学生の数が多いか」は論じるまでもありません。
【メジャー学部】
学部の人数が多いため、大企業に行く人数も多い。
【マイナー学部】
学部の人数が少ないため、大企業に行く人数も少ない。
おまけに、就職実績は中小企業を省くことが多いため、余計にメジャー学部の実績が際立ちます。
学部による活動内容の差
人前で話すことが苦手な学生は、就活で失敗しやすい。
これは紛れもない事実です。どれだけ頭の回転が早くても、どれだけ語学力に優れていても、それを面接で表現できなければ内定にはたどり着けない。
そして、経済、経営、法あたりのメジャー学部ではゼミ活動に「討論」や「発表」が多い。
必然的に人前で話す能力が育まれます。
【メジャー学部】
「討論」や「発表」が多いため、卒業までに人前で話す能力を身につけやすい。
【マイナー学部】
「討論」や「発表」が少ないため、卒業までに人前で話す能力を身につける機会が少ない。
もちろん、マイナー学部でも「討論や「発表」を頻繁に行うゼミもありますし、元々コミュ力に優れた学生には当てはまりません。
価値観の差
「大企業に就職できれば成功」と考えている学生ばかりではありません。
収入面を第一に考えず「やりがい」や「社会奉仕」を求めてNPO法人に所属する学生もいます。極論を言えば、旅に出る学生だって多い。
そして、そういった価値観は、大学受験のときから大筋が定まっています。
【メジャー学部】
「大企業に就職できれば成功」と考えている学生の割合が高い。
【マイナー学部】
「大企業に就職できれば成功」と考えている学生の割合が低い。
マイナー学部の学生は、そもそも「就職実績が良い」に向かっていないのです。
よくある質問集
ここからは、「大学生はこれを見ろ」に寄せられるよくある質問を紹介します。
理系はどうなの?
一般応募は関係ありませんが、推薦は学部が大きく影響します。
例えば、「理工学部機械工学科大学院卒」と「理工学部数学科大学院卒」の学生を比べると、
【銀行の総合職などに文系就職する場合】
一般応募で就活を行うため、両者に差はない。
【各研究分野を活かした企業に推薦就職する場合】
推薦応募で就活を行うため、推薦先の多い「機械工学科」の方が就職しやすい
もちろん、各大学の推薦枠や細かい研究内容にもよりますが、大筋としては工学系が強く、理学系は弱い。
マイナー学部から大手に行くには?
「普通の就活対策」を行えば問題ありません。
繰り返しになりますが、学部を理由に就活が不利になることはないのです。そのため、一般的な就活対策である、
- 自己分析
- 企業研究
- インターン
- OP訪問
- etc
などを実直に行うことを覚えておきましょう。
また、どうしても不安ならば「内定に繋がる就活サービス」を利用するのもオススメです。興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
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まとめ
一部の理系を除き、
「○○学部だから就活は余裕」
「□□学部だから就活は無理」
なんてことはありません。
無意味な噂に惑わされずに、実直に就活対策を積み重ねてください。