大人気イベント
「このイベントに行こうか悩んでるんですけど、どう思いますか?」
そう言って見せられたのは、Facebookのニュースフィードに表れる投稿型広告でした。
簡単にまとめると、
「毎回大恒例!すぐ満席になる!!大学生必見の就活セミナー!!」
みたいな内容。
その学生によると「2週間ほど前からちょこちょこフィード上に表示されていて、そんなに人気なら…」と心が動いてきたとのこと。
うん。
ちょっと、何言ってるか分からない。
そもそも2週間広告を打ち続けている時点で「すぐ満席に!」なってないし人気じゃないってことに気付かないといけません。
フェイスブック広告の存在
まず、問題点として真っ先に上がるのが、この学生がフェイスブック広告の存在を理解していなかったということ。
実は、フェイスブックにしろツイッターにしろ、大抵のSNSには自社の利益を上げるための「広告枠」が存在します。
投稿上部に「おすすめの投稿」と表示される、これです。
これ、たまに本気で「フェイスブックが自分におすすめの投稿を表示してくれてる」って思ってる学生がいますけど、実態はただの広告。
フェイスブックがお金をもらって表示させているだけです。
で、これがウェブ広告としては非常に優秀で、プロフィールなどの登録情報(性別、年齢、住所、投稿の内容)を元に、広告を表示させる相手を狙い撃ちできるんです。
つまり、冒頭の就活イベントならば、「1993年(1994年)生まれ」の「◯◯大学」をプロフィールに登録している人だけに表示させることが、上記のカードローンならば成人男性にだけ表示させることが可能と言うわけ。
通常の広告だと1万人に配っても、必ず5000人分程度は"無駄"が出ます。例えば、新聞広告に就活イベントを打っても読者の半分以上は社会人ですから相当数が"無駄"です。ところが相手を指定できるフェイスブック広告ならこの"無駄"が極端に少ない。
相手を指定でき、広告費も安い、オマケに手軽と三拍子揃っているおかげでフェイスブック広告は零細企業を中心に大きな支持を得ています。
良いサービスには"悪"が集まる
と、ここまでなら非常に良いサービスなんですが、残念ながら実情は悲惨です。
この「おすすめの投稿」でまともな広告を見たことがありますか?
大学生のフィードに表示される広告は、大抵が「絶対に儲かる!」とか「セフレ募集中!」とか「絶対に痩せる!」とか品位と常識にかけるものばかり。
こうなる理由も非常にシンプルで、このフェイスブック広告って「誰でも出せる」うえに「審査が何もない」んです。
「大学生はこれを見ろ」の広告も5分で出すことが出来ます。出しませんけど。
そのため、現状は、詐欺一歩手前の勧誘や、「すぐ満席になる」のに2週間も広告を打ちっぱなしのイベントなどちょっと残念な広告が集まっているのが実情です。
ウェブ広告に限らず、広告を打っている時点で…
広告は販促の手段として非常に一般的な手法です。
最も簡単で、最も効果が出やすい。
しかし、ウェブ広告に限らず、広告を打ってる時点で売り手側の理想とする地点まで到達していないことを忘れてはいけません。
ミスチルのライブとかわざわざCMで告知しないでしょう?あれこそ放っておいても「すぐ満席に」なるから広告を打つ必要がないんです。
車や家電製品などの「モノを売る」広告ならば上限がない(いくらでも売りたい)ので広告の有無で是非を測ることは出来ませんが、「イベント」や「セミナー」などの上限がある(人数制限)もので熱心に広告を出しているのならば人気がないと自己申告しているようなものなのです。
まとめ
フェイスブック広告は、個人や素人でも手軽に広告を出せる素晴らしい仕組みですが、それゆえに現状は残念なことになっています。
また、本質的な部分で言うと「人気がない=価値がない」訳ではありません。
人気がなくても充実したイベントはいくらでもあります。
しかし、冒頭の就活イベントで言えば、2週間経っても席が埋まらないのに「すぐ埋まる!大人気!」と嘘を重ねたことは忘れない方が良いでしょう。