先日、「大これのTwitter」で質問箱を開放しました。
5日間で150の質問が届いたのですが、その中でも多かったのがこんな質問。
TOEIC900は評価します。
簿記2級は直接評価しません。新卒採用は職種に分けて採用しないので、特定分野でしか使わない資格は評価対象にない。ただ、面接官個人の「勉強してんだなー」って評価にはなり…
続きは質問箱へ #Peing #質問箱 https://t.co/XOISURLBfu
— 大学生はこれを見ろ (@daikoree) May 19, 2020
新卒就活(特に大手人気企業)って、職種に分けて採用しないんです。
営業とか経理とか分けないで一括採用する。だから、特定の資格が役立つことはあまりない。とりあえず勉強したいなら英語(TOEIC) #Peing #質問箱 https://t.co/Q2hC1dlPug
— 大学生はこれを見ろ (@daikoree) May 20, 2020
そりゃそうです。
就活最強の資格の一つは「慶應ラグビー部」です。 #Peing #質問箱 https://t.co/skxSy1K1jm— 大学生はこれを見ろ (@daikoree) May 20, 2020
「就活に有利な資格はなんですか?」
「TOEIC900MARCHは早慶に勝りますか?」
「体育会は就活で有利ですか?」
よし、分かった。落ち着け。
そもそも、新卒就活はいろんな評価基準が複雑に絡み合って出来ています。そのため、
「◯◯なら、内定」
みたいな単純な話ではありません。そして、「就活に有利な◯◯」を話し始めると、とても長くなる。
ただ、今回は全て話します。
長くなりますが「就活に有利」という言葉の全てを解説しますので、じっくりお楽しみください。
[toc]
就活に有利には「2種類」ある
そもそも「就活に有利」という言葉は2種類の意味で使われます。
【"直接的"に有利】
→あるだけで選考にプラスの要素で働く。一般の学生が手に入れられるものでは「学歴」と「英語」などごく少数。
【"間接的"に有利】
→そのものがプラスに働くわけではないが、それを得た時間や努力が評価される。「資格」や「サークル活動」「アルバイト」など無数に存在する。
ざっくり説明していきましょう。
直接的に就活が有利になるもの
持ってないと選考に参加できない、或いは、参加できない可能性が高まるものです。
有名なもの言えば「学歴」
就活に「学歴フィルター」が使われるのはもはや常識です。
【学歴フィルターとは】
選考の序盤において、学歴を基準に足切りするもの。
多くの場合、
- 上位国立レベル
- MARCHレベル
- 日東駒専レベル
- それ以外
この4段階に分けられ、人気企業は一定ライン以上の学生を優先的に採用する。
ただ、直接的に就活が有利に働くものは「学歴」と「英語」「インターン(同社の選考のみ)」くらいです。
そして、上記の強力なアイテムでさえ、それだけで内定を得られる訳ではありません。
学歴も、英語も、持っているコミュニティの中ではあって当たり前のものなのです。
極論、就活の中でも最も勝ち組と言われる総合商社トップの「三菱商事」では、学歴と英語力があって初めて選考に参加することが出来る。持ってないやつは説明会にも参加できないか、エントリーシートの時点で足切りされます。
間接的に就活が有利になるもの
結果そのものではなく、得るための時間や努力が評価されて有利になるものです。
例えば「塾講師のアルバイト経験」です。
塾講師のアルバイトは大学生に人気が高い。まず、人前で話すことに慣れているのが強い。細かい資料作成も出来るし、なんだかんだ受験レベルの学力を確実に持っているのも貴重です。
ただ、それだけで採用になることはない。所詮はアルバイトです。
ところが、選考過程では様々な質問が飛んできます。
- 学生時代にがんばったことは?
- 自分の長所をPRしてください
- コミュ力って何だと思いますか?
- 在学中の挫折経験はありますか?
あれ、これって全部「塾講師のアルバイト」に絡めて答えられますよね?
新卒就活における設問の多くは「根拠」を求められます。そんなとき「◯◯です。塾講師の経験から~」と答えられるのはめちゃくちゃ便利です。
アルバイトだけではありません。
サークル活動、ゼミや研究室、インターン、学園祭実行委員、なんでもよい。
何かをやってた学生は話のネタに困らないし、人前に出て活動していたならコミュ力もついている。活動そのものは評価しませんが、そこで得た経験や能力が間接的に評価されるのです。
ただ、繰り返しますが「間接的に評価」します。
アルバイトで言えば、居酒屋だろうがカフェだろうが、スーパー、工場、塾講師、警備員…どれを選んでも、職業そのものを評価するわけではない。
それだけは忘れないでください。
就活に有利と噂されるものの正体
ここからは、大学生が惑わされがちな「就活に有利なもの」を解説していきます。
解説するのは次の7つ。
【学歴】
→直接的に作用する最高のアイテム。上位人気企業は、有名大学を中心に採用する。ただ、無名大学からの採用がゼロな訳ではないので、そこは誤解なきよう。
【英語】
→直接的にも間接的にも作用する便利アイテム。「業務に英語が必要な企業」では、英語を持っていないと選考に参加できない。資格という側面でもTOEICは間接的に評価されやすい。
【インターン】
→直接的にも間接的にも作用するコスパ最強アイテム。志望企業のインターンに行っておけば本選考の優遇を受けられる可能性があり、そうじゃなくても、インターンではコミュ力や論理的思考力を鍛えられる。
【資格】
→間接的に有利な代表アイテム。新卒採用では職種に分けた採用を行わないが、資格は努力の証明になりやすい。
【サークル/体育会】
→間接的に有利。活動内容によって優劣がつくわけではないが、在学中のエピソードに使いやすい。
【アルバイト】
→間接的に有利。コミュ力が身に付くものはもちろん、在学中のエピソードに使いやすく誰にでも出来る。
【成績】
→就活に与える影響は小さい。成績を選考項目に入れる企業は稀だが、あまりにも悪すぎると印象が落ちる。
それでは、1つずつ解説していきます。
学歴
人気企業は、学歴による足切りを行います。
学歴フィルターは、ウェブの発達によって本当に簡単なものになりました。リクナビやマイナビには、学生全員が学歴を正直に入力してくれるのです。
企業側は、管理画面を少し操作するだけで、無名大学の学生を簡単にシャットアウトすることが出来ます。
さて、こういう話をすると、
「学歴フィルターなんて存在しない!!」
なんて叫びだす脳内お花畑の学生が毎年いるんですが、落ち着いてください。
日本の企業情報が詳しく載っている「就職四季報」を開くのです。
どこでも良いんですが、分かりやすいので総合商社トップの三菱商事でも見ましょうか。「採用実績校」が載っています。
【20年4月入社の学校名】
(文系院卒)慶應、一橋、オックスフォード、サセックス、パリ政治学院
(文系学部卒)慶應、早稲田、東大、京大、一橋、東京外大、神戸、上智、青学、明治、立教、国際教養、茨城、横国、ICU、阪大、ネブラスカ州立大学オマハ校
(理系院卒)東大、京大、早稲田、東工大、名大、九大、慶應、北大、東北大、阪大
(理系学部卒)慶應、東大、京大、早稲田、阪大
国立と上位私立、あとは海外の有名校しか採用していません。
就職四季報は毎年刊行されるので、興味のある方は遡って見てみると良い。採用校はほとんど同じ、たまに日東駒専ラインの学校が1つ2つ混じっているだけです。
繰り返します。
人気企業は、間違いなく学歴フィルターを採用しています。
ただ、全ての人気企業が学歴フィルターを採用している訳ではなく、学歴フィルターを突破する手段もない訳ではない。
そのあたりを詳しく知りたい方は、以下のページを見てください。
【就活と学歴の関係の解説ページ】近日公開予定
公開したら「大学生はこれを見ろ」の公式Twitterでお知らせするので、興味のある方はフォローしてお待ちください。
英語
英語は、企業によっては学歴のように「足切り」のニュアンスで使われます。
日常的に英語を使う企業はもちろん、大手企業の大半は海外にも支社を持っています。それらの企業においては、英語を使わなければ業務のスタートラインにも立てないのです。
英語力を測る指標としては、
【TOEICスコア】
→在学中に受けたTOEICの点数で評価する。「軽めの英語力」を求める企業に多い。
【英語での面接】
→採用試験のどこかで英語のみでの面接を行う。「本気の英語力」を求める企業に多い。
この2つが多い。
ただ、多くの大学生が勘違いしていますが、どんな形であれ「ネイティブレベルの英語力」を求める企業は非常に稀です。ニュアンスとしては「英語で現地人とコミュニケーションが取れる」に近い。
私たちだって、
「コンニチハー、キョウ ドコイキマスカー」
って言われれば充分に意味は通じますし、「この人、日本語喋れるんだなー」って認識するでしょう?
そのため、中高の英語教育を受けて、且つ、「オンライン英会話」とかでネイティブと日常的に話せるのなら英語のラインは突破できる可能性が高い。半年以上の留学経験があるのなら大丈夫です。
【就活と英語の関係の詳細ページ】近日公開予定
公開したら「大学生はこれを見ろ」の公式Twitterでお知らせするので、興味のある方はフォローしてお待ちください。
インターン
ここ数年で、インターンは「事前選考」のニュアンスが強くなりました。
年度によって多少の誤差はありますが、日本では新卒就活の時期が定められています。ここ数年は「4年生の6月から選考開始」ですね。
この時期を明確に守っている企業は少ないものの、企業側からすれば、新卒採用の時期が制限されると有用な人材を獲得しづらい。
そこで注目されたのが「インターン」です。
インターンは、表向き「職業体験」ですが、実態としては「採用の前哨戦」と位置付けている企業が多い。学生に告知するかどうかは企業に依りますが、インターンに参加することで、
【早期内定】
→4年生の本選考に参加せずとも内定を出す。
【選考優遇】
→4年生の本選考の「書類選考」「筆記試験」「グループ面接」などを免除する。
【リクルーターの紹介】
→採用のアドバイスをくれる社員が自分に付く。表向き選考とは無関係だが、人事とつながっている。
こんな優遇を与えられる"可能性"があります。
また、これらの直接的な優遇措置はなくとも、志望企業のインターンに参加していれば志望度のアピールには困りませんし、他社でも「◯◯社のインターンでこんなことをした」って自己PRにも困りません。
インターン経験は、直接的にも、間接的にも有利になるアイテムなのです。
-
インターンの真実|就活で早期内定を目指すならインターンに行くのがオススメ
続きを見る
資格
資格が就活に直接有利になることは"ほぼ"ありません。
これ、勘違いしている学生が多いのですが、新卒就活って「職種」を分けずに一括採用を行います。
つまり、
- 営業
- 人事
- 経理
- 法務
などの部署ごとに採用するのではなく、まずは「採用」 そのあと、適性や希望を聞きつつ部署に振り分ける。そして、大抵の企業では数年ごとに異動があります。
そのため「簿記3級」を持っているからと言って「経理部に配属前提で採用」なんてことにはならないのです。
ただ、資格は「勉強をしてきた証明」になります。
その証明は、間違いなく面接官の心象を良くする。加えて、勉強してきたことを自己PRにも使えるため、"間接的"という意味ならば就活に有利になります。
【就活と資格の関係の詳細ページ】近日公開予定
公開したら「大学生はこれを見ろ」の公式Twitterでお知らせするので、興味のある方はフォローしてお待ちください。
サークル/体育会
「サークル」や「体育会」は、最高レベル以外は"間接的有利"のアイテムです。
まず、一般的なサークル活動や体育会は、直接的に有利になることはありません。ボランティアサークルでも、ラグビー部でも同じ。活動自体が評価されることはない。
ただ、活動自体は「選考におけるあらゆる設問のベース」になります。加えて、「体育会」という言葉に好意的解釈をしている中年男性は多い。先輩やOBとの繋がりがあるから情報戦に負けることはない。
そんなこんなで、活動内容が就活に"間接的"に役立つことは多くなっています。
そして、
「有名スポーツの全国レベルの学生」
だけに関しては、強力なコネの力によって労せずして大手優良企業の内定を獲得していきます。
このあたりに関しては、以下のページで詳しく解説します。興味のある方は、こちらもどうぞ。
【就活と体育会の関係の詳細ページ】近日公開予定
公開したら「大学生はこれを見ろ」の公式Twitterでお知らせするので、興味のある方はフォローしてお待ちください。
アルバイト
アルバイトもサークルと同じ意味あいですね。
家庭教師でも、居酒屋でも、カフェでも、工事現場でも、イベントスタッフでも同じです。
その仕事自体が就活に直接有利になることはありません。身も蓋もない言い方をすれば、
「所詮アルバイトでしょ」
って大人はみんな考えています。それだけで内定に繋がることはあり得ない。
だけど、アルバイトで得た経験は必ず役に立ちます。
特に、接客バイトをしていた学生は就活に強い傾向にある。就活で成功する学生のパターンは様々ですが、失敗する学生は大体同じ、
「面接でうまく話せない」≒「コミュ力がない」
からです。接客バイトをしていれば、最低限のコミュ力が身に付く可能性は高い。もちろん、コミュ力がつくなら「インターン」でも「サークル活動」でも良いので、アルバイトだけの優位性ではありません。
-
就活に有利なアルバイト|大学生がコミュ力や自己PR能力を身につけたいならコレだ!
続きを見る
成績
成績が就活に与える影響は、とても小さい。
まず、就活では「成績証明書」の提出を求められることが多い。それゆえ、「成績が就活に影響する!」なんて噂が広まっているのですが、提出タイミングは「内定直前」か「内定後」がほとんどです。
つまり、提出の意味合いは「卒業できるかどうかの確認」が強い。(企業によっては「卒業見込証明書」の提出を求める場合もある)
そもそも、成績なんて大学どころが科目ごとに評価基準が異なる。
極論、
- 東大で成績悪い
- Fランで成績良い
なんて場合、どちらを評価すべきかって話になってしまう。
ただ、面接官個人の趣向として「成績悪い学生はダメ」と考えている場合はあり、そんな面接官と当たった場合は心象が悪くなる。
「良くても就活に影響はないが、悪いと就活に影響がある」と考えておくと良いでしょう。
-
新卒就活と成績の関係性|理系学生が推薦を使うとき以外、大学の成績が重要視されることはありません
続きを見る
まとめ
「◯◯は就活に有利」なんて噂は多い。
しかし、就活の選考過程は、様々な要素が複雑に絡み合い「◯◯」ひとつで合否を決定付けられることはほとんどありません。
よく話題に挙がる「◯◯」は以下の7つですが「学歴」と「英語」以外が直接的に影響することはないのです。
【学歴】
→直接的に作用する最高のアイテム。上位人気企業は、有名大学を中心に採用する。ただ、無名大学からの採用がゼロな訳ではないので、そこは誤解なきよう。
【英語】
→直接的にも間接的にも作用する便利アイテム。「業務に英語が必要な企業」では、英語を持っていないと選考に参加できない。資格という側面でもTOEICは間接的に評価されやすい。
【インターン】
→直接的にも間接的にも作用するコスパ最強アイテム。志望企業のインターンに行っておけば本選考の優遇を受けられる可能性があり、そうじゃなくても、インターンではコミュ力や論理的思考力を鍛えられる。
【資格】
→間接的に有利な代表アイテム。新卒採用では職種に分けた採用を行わないが、資格は努力の証明になりやすい。
【サークル/体育会】
→間接的に有利。活動内容によって優劣がつくわけではないが、在学中のエピソードに使いやすい。
【アルバイト】
→間接的に有利。コミュ力が身に付くものはもちろん、在学中のエピソードに使いやすく誰にでも出来る。
【成績】
→就活に与える影響は小さい。成績を選考項目に入れる企業は稀だが、あまりにも悪すぎると印象が落ちる。
そして、「学歴」と「英語」でさえも「持っていれば内定」なんて便利アイテムではありません。
「持っていないと勝負の舞台に立てないアイテム」なのです。
逆を言えば、「学歴」と「英語」を必要としていない企業においては、なんの有利性もありません。
残念ながら、内定を簡単に取るのは難しい。
「◯◯すれば就活楽勝」なんて噂に惑わされずに、高校までの努力を学歴で表現して、アルバイトやサークルでコミュ力を鍛えて、真面目に講義を受けて思考力と成績をとって、インターンに行って抜け道を作って…。
「小さな有利」を積み重ねて、内定を掴みにいくしかないのです。