こんな質問を頂きました。
こんにちは。いつも「大これ」の更新を楽しみにしています。国立大学文系3回生のものです。
(中略)
そろそろ就活を意識していて、自分なりに企業研究をして志望企業や業界を絞り始めています。
恥ずかしながら、明確な「やりたい仕事」がないので、
- それなりの給料
- 安定感のある会社
を目安に、いわゆる「大企業」を中心に見ています。
ところが、先日テレビで「年収が700万円以上になっても幸福度は上がらない」と言っていて驚きました。
調べてみると、どうやらちゃんとした調査のようなので、企業選びの軸がブレてきました。
(中略)
給料を軸に企業を選ぶのは辞めた方が良いのでしょうか?
お忙しいとは思いますが、お時間のある時でも良いのでご返信を頂けると幸いです。
逆です。
「年収700万円までは収入と幸福度が比例する」という事実の方が問題なのです。
よって、年収700万円を早めに達成するためにも、企業選びの軸には給料を入れた方が良い。
年収と幸福度の相関関係
2002年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授はこんな研究結果を発表しています。
「感情的幸福は年収7万5000ドルまでは収入に比例して増えるが、それを超えると比例しなくなる」
この研究の解釈の仕方は様々ですが、アメリカの世帯年収の平均は約7万ドルなことを考えて、
「年収700万円(或いは600万円)以上になると収入と幸福度は比例しない」
と日本では認識されることが多い。
と言うのも、700万円までは「身の安全」や「食」「健康」などの本質的な幸福を得ることが出来ますが、そこから先は消費活動に依る幸せを求めることになります。
高価な車を買う。海外旅行に何度も行く。高級なディナーを食べるetc
だけど、消費活動に依る幸せは回数を重ねるごとに得られる幸福感は減っていきます。
「高級なステーキを毎日食べる」という行為さえも、「毎日食べられる」なら高級ではなくなってしまう。本人の中の高級の基準はどんどん高まり、お金はいくらあっても足りなくなるのです。
これが、
「年収700万円以上になると収入と幸福度は比例しない」
のカラクリです。
年収700万円までは比例することの方が重要
「そうか!じゃあ企業選びで年収は気にしなくて良いのか!」
違う。そうじゃない。
そもそも、お金と幸福の相関関係なんて「人それぞれ」が当たり前なんです。貧乏でも夢を叶えて幸せな奴もいれば、起業して年収3000万円でも毎日が不安な奴もいる。
その「人それぞれ」の中で「年収700万円までは収入と幸福度が比例する」という事実の方が大切なんです。
転職サイトDODAの調査に依ると、
20代正社員の平均年収:348万円
30代正社員の平均年収:458万円
40代正社員の平均年収:586万円
50代正社員の平均年収:721万円
平均的に推移しても50代でやっと分岐点に到達できるんです。もちろん、50代を過ぎても年収700万円に達しない人もたくさんいる。
「年収700万円からは幸福度と比例しないから、お金は大事じゃない」ではありません。
「年収700万円までは幸福度と比例するから、なるべく早い段階で到達して、そこから本当の幸せを考える」のです。
給料基準の企業選び、大いに結構
学生の多くは、そう簡単に志望企業や志望業界を選ぶことが出来ません。
そりゃそうです。
今まで仕事のことなんて全く意識してこなかったのに、急に「行きたい企業を決めろ」なんて言われても無理に決まっている。
だけど、一歩目さえ踏み出せば、案外すんなりと話が進むこともあります。
【参考記事】
就活へのやる気が全くなかったのに、いつの間にか普通に就活していた学生の話。
そして、その一歩目として「年収基準」は非常に有効です。
「とりあえず給料の高いところ」から選び始めれば、そこから次の一歩を探せます。
↓
「ちょっと雰囲気が合わないな…じゃあ次は似たようなところで保険系を見てみるか」
↓
「保険の仕事は興味あるぞ…じゃあ◯◯保険会社と□□保険会社の説明会に行ってみよう」
そうやって、少しずつ企業を選んでいくのです。
【参考記事】
将来高収入を得たい大学生へ。あなたが覚えておくべき年収に関するたった一つの真実
まとめ
「年収700万円以上になると収入と幸福度は比例しない」
この研究は正しい。
ただ、大切なのは「年収700万円から先の幸福度は人によって変わる」ではなく、「年収700万円までは年収と幸福度が比例する」という事実です。
適当に働いていては、年収700万円を超えることは難しい。
お金に幸福度が依存する人生から抜け出すためにも、企業選びの軸に収入を置くことは大切です。
また、平均年収は「就職四季報」などで確認することが出来ます。