ブラック企業の定義
本日、こんなニュースがヤフーに掲載されていました。
<ブラック企業>学生と企業の認識の差 給与金額で顕著に
ヤフーのニュースは数日で削除されてしまうので、簡単に要約すると、
学生の考える「ブラック企業」と企業が考える「ブラック企業」の間には認識の差がある。
【ブラック企業の条件】
学生の1位:残業代が支払われない
企業の1位:残業代が支払われない
ここの意識は共通しているが、
【ブラック企業の目安】
学生:新卒者の入社3年以内の離職率が3割以上
企業:新卒者の入社3年以内の離職率が5割以上
学生:1ヶ月の残業時間が40~60時間以内
企業:1ヶ月の残業時間が100~120時間以内
ブラック企業が駆逐されるのは喜ばしいことですが、学生が理想を追い求めすぎているのも否定できません。
そもそもブラック企業って何だ
本来、ブラック企業とは
「若者を大量採用して、過重労働、違法労働によって使い回し、次々と離職に追い込む成長大企業」
を指します。
ブラック企業に勤めたせいで体を病み、働けなくなってしまった人も少なくありません。
労働者の権利を守らず、己の私利私欲のために若者を使い回すブラック企業はなくなって当然です。ブラック企業が明るみに出てきたのも良い傾向です。
しかし、その一方で、冒頭のアンケートの様にちょっと納得いかないことが起こると「ブラックだ!!」と叫ぶ風潮が広まりつつあるのも否定できません。
いったい何がブラックで、何が普通なのでしょうか。
残業代が支払われないのはブラック企業か
「残業代が支払われない」
これは「賃金が正当に支払われていない」ということなので、ブラック企業と呼ばれて当然です。
ただ、入社後数年の「新入社員であるがゆえの残業」については残業代を払わない企業は意外と多い。大手、中小に関わらず、です。
その状況の是非に関しては議論するつもりはありませんが、「入社後数年(特に入社年)は残業代が出ない企業はけっこう多い」ことだけお伝えしておきます。
離職率が高いのはブラック企業か
大卒新卒者の3年以内離職率(2013年発表)は31%です。
全体で見ても3割という数字は決して高くない。むしろ、"ド"が付くほどの平均です。
「3年以内に10人中3人がやめる」と聞けばとても多いように思えますが、どれだけホワイトな仕事でも20%ほどは必ずやめます。
どんな仕事でも「合わない」人はいますし、25歳までに結婚退職する女性も少なくない。
また、第二新卒制度(卒業後1~3年で就職)が出来てから、「転職するなら早いうちに」と考える人たちも増えています。
以上のことから、
3年以内離職率30%前後でも"普通"、それを極端に超えるようなら"要注意"と言えます。
残業時間が長いのはブラック企業か
「労働時間が長い=ブラック企業」と考えている学生はとても多い。
はっきり言います。
「誰もが羨む大手有名企業はたいてい労働時間がめちゃくちゃ長い。マジで長い」
それでも彼らが"ブラック企業"と呼ばれないのは、残業代がきっちり出て、収入がとても多いからです。
残業時間が長いだけではブラックとは呼べません。
残業時間が長く、且つ、残業代が出ないときに初めて"ブラック"と呼ばれるのです。
余談ですが、残業が"全くない"企業ってそれはそれで危ないです。
仕事がないってことですから。
"ブラック企業"という名前だけ一人歩きしてないか
若者を低賃金重労働で使い回し、壊れたらポイ
そんなブラック企業は駆逐されて然るべきです。擁護するつもりなんてさらさらありません。
しかし、仕事とは生きるための手段です。
「楽しくて労働状況も良くてお給料もいっぱいもらえる」なんて仕事はありません。
成功もする。失敗もする。上司に褒められる、そして怒られる。自分のミスは残業してでも埋める。
全てひっくるめて"仕事"です。
大変な仕事がブラック企業、楽な仕事がホワイト企業ではありません。
あなたにとっての「ブラック」は何だ
ただ、なるべくなら自分の希望の労働条件の元に働きたいでしょう。
ならば、譲れない条件をしっかりと書き出してください。
そしてそれをOB訪問や説明会の際にしっかりと問いただしてください。
「入社してみたら思ってたのと違う…」となる人はとても多い。しかし、その「思ってた」自体が間違っているのです。
向こう40年勤めるかもしれない企業です。「思ってた」ではなく、OB訪問するなり会社見学するなりして「知っておく」べきなのです。
まとめ
「ブラック企業」と批判するのは簡単ですが、その企業は本当にブラックなのでしょうか。
また、大手有名企業であっても、あなたの希望通りの労働条件かどうかは分かりません。
「残業代はきっちり出るけど、月の残業時間は80時間超え」なんて大手企業も多いですよ。
自分の「ブラックの基準」は何なのか。しっかりと考えて、就活してください。