OB訪問の重要性は高まる一方です。
そもそも、企業は「説明会」や「採用ページ」では、自社の良いところしか見せてくれません。上辺だけの情報で判断すると、入社してから後悔してしまいます。
そこで大切になるのが「OB訪問」です。
OB訪問をすれば現役社員の生の声を聞くことができる。社会人に慣れることで面接対策にもなる。エントリーシートの添削をしてもらうのも良いですし、場合によっては直接内定に繋がることもあるのです。
つまり、OB訪問は「メリットしか存在しない行動」と言えます。
ところが、OB訪問を就活に活かしている学生は多くはありません。そりゃそうです。知らない人に会うのは億劫ですし、そもそもOB訪問自体をよく分かってない学生が多い。
そこで今回は、OB訪問をイチからじっくり解説します。
OB訪問のやり方やメリットをしっかりと理解し、実際に行動するかは自分で決めてください。
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OB訪問とは
OB訪問(OG訪問)とは、興味のある業界や企業の「先輩」を訪ねて、就活への理解を深める行為を指します。
本来の役目は「企業研究」 つまり、実際の社員と話すことで、採用後のミスマッチを防ぐことが目的です。
ただし、近年は、単純な企業研究だけではなく、
- 社会人に慣れる
- リクルーターと繋がる
- 本選考で有利になる
などのメリットが注目され、OB訪問を実施する学生は増加傾向にあります。
OB訪問を行う学生の割合
大手就活サイト「マイナビ」の調査に依るとOB訪問の実施率は約26%です。
ただ、これは「わざわざアンケートに答える熱心な就活生」の回答結果のため、大学生全体で見た場合はもう少し下がります。
OB訪問にデメリットは存在しませんが、
- OB・OGに自分から連絡をとる
- わざわざ会いに行く
という面倒臭さから、行動する学生が少数派の域を出ることはありません。
ただ、行う人が少ないからこそOB訪問には意味が生まれます。覚えておいてください。
平均的な訪問人数
OB訪問の平均訪問人数は約4人です。
最初は面倒くさいものの、1度行けばどんどん回数を重ねられること。また、リクルーター採用を実施している企業では、
OB訪問→リクルーターを紹介
という流れが完成されているため、実施人数は多めになります。
【リクルーターとは】
通常の選考外で、学生と接触する社員のこと。
リクルーターに評価されれば「筆記試験免除」や「面接時における推薦」などが与えられ、本選考を有利に進めることが出来る。
全ての企業に存在する訳ではなく、本選考で学生を捌ききれない大手人気企業で実施されている。
就活序盤に行うのが一般的
OB訪問は、3年生から就活序盤までに行うのが一般的です。
就活の時期は毎年少しずつ異なるため明言は出来ませんが、2018卒の場合は、
【2018卒の就活スケジュール】
2016年8月〜:インターン参加
2017年3月〜:説明会開始
2017年6月〜:選考開始
この形が一般的だったため、3年生の12月から4年生の5月ごろまでがOB訪問のピークでした。2019卒、2020卒もほぼ同じです。
ただ、OB訪問は実施期間が定められている訳ではないので、いつから始めても問題はありません。ピークにはOBも多忙になってしまうので、早く行うに越したことはない。
中には、2年生の頃から50人以上ものOB訪問を行なった学生も存在します。
OB訪問のメリット
OB訪問のメリットはとても多い。
元々の役割である「企業研究」だけでなく、選考に直接影響するメリットも存在します。
今回は、代表的なメリットである、
- リアルな社風を聞ける
- 社会人と話すことに慣れる
- リクルーターと繋がれる可能性
- 本選考が有利になる
を紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
リアルな社風を聞ける
OB訪問を実施する場所は社外であり、OBの多くは一般社員です。
そのため、説明会やインターンに比べると、ずいぶんと砕けた雰囲気になりやすい。そのため、公式な場所に比べると得られる情報量が圧倒的に多いのです。
「年収は?」なんて質問は失礼ですが、
- ちゃんと有給消化してる?
- 何時くらいに帰ってる?
- 今から就活するなら、どこ受ける?
などの、一歩踏み込んだ質問にも答えてくれます。
社会人と話すことに慣れる
社会人と話すことに慣れていない学生は、就活で必ず失敗します。
考えてみてください。
今までの人生において「初対面の社会人」と真面目に話した経験ってありますか?
そう、大半の学生はないのです。そのため、就活本番の面接で、初めて社会人と対面することになります。
そして、大抵の人間は「初めて」に弱い。
初めての就活、初めての面接、初めての社会人etc あらゆる「初めて」が、あなたを緊張で包んでしまいます。
そうならないためにも、OB訪問やインターンで社会人慣れしておくことは重要なのです。
リクルーターと繋がる可能性
OB訪問を採用活動に利用する企業が増えています。
近年の就活キーワードは「多様化」です。王道の内定コースである、
- エントリーシート提出
- 筆記試験
- グループディスカッション
- 集団面接
- 個人面接
- 内定
この形だけではなく、インターンやOB訪問、各種就活イベントで学生と繋がりを持つ企業も少なくありません。場合に依っては、序盤の選考が免除されることも少なくないのです。
- インターン or OB訪問
- 集団面接
- 個人面接
- 内定
例えば、総合商社大手の「三井物産」は、OB・OG訪問サービスである「ビズリーチ・キャンパス」に社員1000人を登録させたことを発表しています。
【ビズリーチ・キャンパス】
OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」 三井物産が導入し、国内社員1,000名が登録
就活の本番は4年生になってからですが、それまでに「OB訪問」や「インターン」「就活イベント」などで内定への道を増やしておくことを覚えておきましょう。
本選考が有利になる
企業は、「学生が本当に入社するかどうか」を重要視しています。
企業が新卒1人の採用にかける費用はおよそ100万円。どれだけ説明会や選考に手間をかけて内定を出しても、入社してくれなければ何の意味もありません。
だから、面接でよく聞くのです。
「第一志望の会社はどこですか?」
「内定を出したら、弊社に入社してくれますか?」
と。
ところが、学生も平気で嘘をつきます。「第一志望です」「必ず御社に入社します」そんな学生も当たり前のように内定を辞退してくる。
そんなとき、企業側がチェックするのが「インターン」や「OB訪問」などの『やらなくても良い就活』です。
志望度の高くない企業へインターン参加するか?あるいは、わざわざOB訪問をするのか?
「第一志望です!」なんて誰にでも言える言葉よりも、会話にさりげなく紛れ込んだ「OB訪問を行ったとき〜」の言葉の方がよっぽど重い。
OB訪問は、企業への志望度の高さを伝える有効な手段の1つなのです。
OB訪問の方法
OB訪問を実際に行う方法は3つです。
- キャリアセンターで連絡先を手に入れる
- 説明会やイベント等で突撃する
- OB訪問サイトを利用する
それでは、1つずつ解説します。
キャリアセンター
王道の方法は「大学のキャリアセンターで連絡先を手にいれる」です。
大半の大学生は、卒業時にアンケートに回答することになっています。そのアンケートの中には、
- 卒業後の進路は?(企業名)
- 学生からのOB訪問を受けますか?
などの質問が入っていて、肯定的な回答を出した卒業生は大学のOB訪問ネットワークに登録されているのです。
有名大学であれば大抵の企業に卒業生が散らばっていますが、
- 個人情報を開示していない大学もある
- そもそも無名大学だとOBがいない
- 連絡しても割と無視される
などがデメリットと言えます。
説明会やイベント
アグレッシブな方法としては「イベントの後で直接交渉する」があります。
先ほども少し触れましたが、無名大学は訪問できるOBがあまりいません。就職実績が蓄積されていないことに加えて、有名大学ほど大学愛がないため、学生を受け入れるOBが少ないのです。
そのため、無名大学の学生は、自ら現役社員を捕まえに行く必要があります。
難しい話ではありません。
合同説明会や就活イベントの後に、その場にいる社員に話しかけてください。
○○大学の□□です。
就活に向けて社員訪問を行いたいが、自分の大学OBには御社の社員が存在しない。
可能なら、誰か紹介してもらえないか?
(↑自分の言葉で敬語に)
社員紹介をしている企業ならトントン拍子に話は進みますし、紹介をしていない企業ならば「うちでは紹介できない。ごめんね」で終わりです。
初対面の社会人に話しかけるのは勇気が必要ですが、やることは本当にシンプルです。ぜひ、試してみてください。
OB訪問サイト
一部の有名大学であれば「OB訪問サイトを利用」が使えます。
OB訪問サイトのメリットは、リクルーターに会えること。言い換えるならば、直接内定に結びつく可能性が高いことです。
OB訪問サイトは無料で利用することが出来ます。しかし、営利企業が運営している以上、無償提供はあり得ません。どこかで利益は出ています。
今回の場合は「OBを提供する企業」です。
企業が採用活動の一環としてOB訪問を利用しているからこそ、OB訪問サイトの運営側に利益が生まれ、現役学生は無料で利用することが出来ます。
先ほども紹介した三井商事が良い例です。単純なOB訪問ならば、それぞれの大学に登録すれば良いだけですから。
【ビズリーチ・キャンパス】
OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」 三井物産が導入し、国内社員1,000名が登録
ただし、OB訪問サイトはまだまだ発展途上です。
「ビズリーチ・キャンパス」が対応している大学は30校にも届いていません。
【2017年7月現在の登録校】
早稲田大学、慶応義塾大学、大阪大学、東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学、名古屋大学、名古屋工業大学、九州大学、九州工業大学、東京理科大学、中央大学、青山学院大学、明治大学、法政大学、立命館大学、立教大学、同志社大学、神戸大学、上智大学、関西学院大学、北海道大学
(OB登録数が多い順)
大半の学生は使うことが出来ませんが、上記の中に自校が含まれているなら登録しておいて損はないでしょう。
同じ大学出身の先輩に話を聞けるOB/OG訪問ネットワーク「ビズリーチ・キャンパス」
OB訪問で何を聞くべきか
OB訪問では年次に合わせて質問内容を変えるのが基本です。
極論を言えば、入社1年目で研修中の社員が人事制度を全て把握している訳がない。入社10年目の営業マンがエントリーシートの設問内容を覚えている訳がない。
そのため、
- 3年目までは採用プロセス
- 10年目までは仕事内容
- 11年目は内定へのコツ
が基本になります。もちろん、状況によってはミックスするのも"あり"です。
1つずつ解説しましょう。
3年目までは採用のプロセス
若手社員の魅力は、採用プロセスがほとんど変わっていないことです。
多少の変更があるとは言え、エントリーシートの内容や選考の方針は変わっていない。入社している人の対策をイメージすれば、そのまま内定に繋がるパターンが多いのです。
また、この年次の社員はまだまだ会社の全体像を把握していません。社内のことを聞きたいのであれば、「会社全体」ではなく「本人から会社がどう見えるか」を聞くようにしてください。
総括して、「就活に成功した先輩」を意識して質問を行うと良いでしょう。
【3年目までの質問例】
- 就活で意識していたこと
- 面接の雰囲気
- 他にどの企業を見ていたか
- 入社してからのギャップ
- 研修の内容
10年目までは仕事内容
10年目までの社員は具体的な仕事内容をイメージするのに最適です。
4年目を超えると、研修や第一次転職ラッシュも終わり、社内でも重要な仕事を任されることが増えてきます。ここまで来て、初めて「会社の仕事」を実感できるのです。
そのため、質問内容は「どんな仕事をしてるんですか?」が基本。
仕事内容へのあらゆる疑問をぶつけて、入社後のミスマッチを防ぐことを意識してください。
【10年目までの質問例】
- 具体的な仕事内容
- 業務スケジュール
- 今の仕事への不満
- 入社してからの変化
- 今後の展望
11年目以降は内定へのコツ
11年目以降には「評価される若手のポイント」を徹底的に聞き出すのです。
社内では、年次が上がれば上がるほど「評価される側」から「評価する側」へ変化していきます。
11年目以降ともなれば、部下を評価することも、学生を評価することもある。若手が知り得ない「評価のポイント」を、極端に言えば「内定への正解」を知っている可能性が高い。
もちろん、10年目までと同じく仕事内容を交えても良いのですが、せっかくなので核心にも迫っておきましょう。
【11年目以降への質問例】
- 社内の若手の評価基準
- 内定を取れる学生とは
- ESの評価
- 仕事内容
- 実際の福利厚生全般
まとめ
OB訪問には、
- リアルな社風を聞ける
- 社会人と話すことに慣れる
- リクルーターと繋がれる可能性
- 本選考が有利になる
などのメリットがあります。
「知らない社会人に、わざわざ会いに行く」という行為に気後れする気持ちも分かりますが、積極的に行うのがベターです。
また、文中でも少し紹介しましたが、一部の学生はOB訪問サービスを利用した方が内定に近づく可能性が高い。「ビズリーチ・キャンパス」はOB訪問だけでなく、学校限定の就活イベント等も実施しているため、対象校に所属しているのなら2,3年生の内に登録しておいて損はありません。