学生の留学
留学の決意を固め、高いお金を払って、何も得られない学生が増えています。
留学も随分一般的なものになりました。
各大学のグローバル系学部はこぞって留学を必修科目に、一橋大学や立教大学などの有名大学は新入生の全員留学を打ち出しています。
【日本経済新聞】
一橋大、新入生の留学必修に 立教や早稲田も
留学の目的は様々ですが、ここ数年で圧倒的に増えた理由が「英語(現地語)を学びに行く」こと。いわゆる語学留学です。
「これからの時代に英語は必要不可欠」「グローバルな時代」「留学しないと就活で不利」etc
これらの言葉の真偽はさておき、それぞれの気持ちを胸に英語を学ぶのです。
ところが、覚悟を決めて行ったのに、思ったより英語が上達しない。
そりゃそうです。理由は明らかな準備不足。
留学前に必ずするべきこと、それは英語の勉強なのですから。
(文中の「英語」は「現地語」と解釈してください)
留学しても英語が上達するとは限らない
留学すれば英語がペラペラになる。
未だにこんな都合の良い解釈をしている学生はとても多い。
この考えの根底にあるのは「英語が日常で使われる国に行けば自然と英語が身に付く」という意識です。
よく考えてください。
初心者がプロのサッカーの試合を見てサッカーの腕前が上達するでしょうか?
しかし、インターハイレベルの腕前があるならば、プロの試合を間近で見ることで得られることも多いかもしれません。
「ネイティブの英語」は英語を学ぶ上で最後に到達するポイント。そこにたどり着くまでにある程度の実力を身に付けておくことは必要不可欠なのです。
留学はあなたの英語力を数倍にしてくれる
ただ、勘違いしないでください。
「留学に行っても英語力は上達しない」なんて言いたい訳ではありません。
留学によって英語は必ず上達します。
しかし、それは「英語力がプラスされる」というイメージではなく「元々ある英語力を倍々にしていく」イメージです。
元々の英語力が10ならばあっというまに話せるようになるかもしれませんが、元々が1ならなかなか上達しません。
日本で学ぶ英語と違い、留学先では英語を英語のまま学ぶことになります。
矛盾しているようですが、英語を学ぶためには英語が必要不可欠なのです。
まとめ
留学に行く前には英語(現地語)をしっかり勉強しておくことが大切です。
英語力ゼロの状態でもある程度は上達しますが、本当の意味で「英語の習得」を目指すのであれば基礎英語を身につけておくことは必須と言えます。
追記
大学院で学位留学をしている学生からコメントを頂きました。
リアル且つ貴重なものなので、こちらにも掲載しておきます。
大学院で海外留学(英語圏)している者です。私は大学院での学位留学なので、語学留学とは状況がかなり異なりますが、英語力(現地語)の向上に関してはその通りだと思います。同時に、日本人学生の英語力が一向に伸びないのは、日本人同士で固まることに有るようにも思います。これは講義の方法が日本とは全く異なることに原因が有ります。私は英語圏の大学院にいますが、講義は座学ではなく、議論が中心になります。知識を教えることはメインではありません。
他の国からの学生も同国人同士で固まるのですが、こちらの講義のスタイル(議論)に彼らは慣れています。つまり、講義中の議論に参加することに躊躇しないので、英語力は徐々に伸びていきます。反面、日本人は発言をすることそのものに対して抵抗があるため、講義中に議論に参加することが少なく、しかも講義が終われば日本人同士で固まるため、英語力が伸びません。
語学留学の場合、失敗しても帰るところがあるのが、英語力が伸びない主な原因と思われます。何が何でも得て帰らないとダメな背水の陣、ではない。学位留学は話す力は伸びないかもしれませんが、筆記能力は確実に伸びます。課題は英語で書きますし、分量も多いですから(課題1つあたり3000~5000語数(6~15ページ程度)、それを履修科目数分。分量は課程、分野などによって異なります)。
すみません、少し補足です。
第1段落と第2段落は主にスピーキングを念頭に置いています。ライティングとスピーキングの2つの技能は実際に使ってようやく身につくものです。ただ、日本人は議論に参加することに抵抗感があるので、なかなかスピーキング能力が向上しません。
反面、第3段落はライティング能力に焦点を当てています。課題はなんとしても合格しないとダメですし、そもそも日本の英語教育はライティングに重点を置いているので、ライティング能力は基礎的なところが概ね定着していると思います。ただし、留学に来てライティングが酷いと言われるのは普通のコトなので、日本の英語のライティング教育が優秀とはいえないです。
現実には、こちらに留学に来ても英語の勉強を続けるかどうかにかかっていると思います。