優しいあなたが、損をするのは間違っています。
大人として生きていると
「お店から嫌な気持ちにさせられた経験」が何度かあったと思います。
思っていたものと違った。
持ち物を汚された。約束していた期限に間に合わなかった。
お金を払っているのに
どうして、こんな嫌な気持ちにされないといけないのか。
でも、きっと優しいあなたは思ったはずです。
カスハラって思われたら嫌だな…
わざとじゃないなら、大目に見るべきか…
もちろん、
あなたが心の底から納得しているのなら良いのです。
でも、本当にそうですか?
相手のミスで、相手の不備で、相手の勘違いで。
あなたが損害を受け、あなたが我慢して、あなたが嫌な気持ちになった時、
あなたには、正当な対価を求める権利があります。
それは怒鳴ることではありません。
相手を困らせることでも、ましてや土下座を強要する訳でもない。
「実害を補填し、傾いた気持ちをハッピーに終わらせること」
正しいクレームを入れれば、
優しいあなたのままで、対価を得ることは可能です。
今日は、その交渉方法を紹介します。
ただ、善良なあなた以外が使うと悪用される可能性があるため、有料記事として公開します。
【はじめに】悪質クレーマーとの違い
私たちは悪質クレーマーではない。
自らを"善良"と呼ぶのは気恥ずかしいですが、便宜上、そう呼ばせて頂きます。
はっきり言って、
この記事を読んで実践すれば、お得になることも多い。
ただ、それはあくまでも、
「業務上起こりうるミスに対して、企業に正当な補償を求めた」
その結果です。
そのため、悪質にならないため3つの約束をします。
【1】個人に請求しない
→お店側で起こるミスは「1人のスタッフ」によって起こることが大半だが、このスタッフに向けて何かを求めることはしない。スタッフのミスを補償するのは企業の責任と考える。
【2】過剰な謝罪を求めない
→スタッフの過剰な謝罪、ましてや土下座を強要したり、怒声を浴びせることはしない。人間がミスをするのは仕方がないことなので、ミスそのものを責めない。ミスから生まれた損害について話し合う。
【3】要求が拒否されたら諦める
→我々は正当な対価を要求する。しかし、"正当"の判断は難しく、場合によっては交渉が決裂することもある。その場合は交渉を長引かせず、潔く諦める。
悪質クレーマーにならない3つの約束
さあ、前置きが長くなりました。
小さなトラブルは日常に溢れています。
そして、トラブルが起こってから対策を調べても遅い。
この記事は、
あなたが日常で出会うトラブルを、ハッピーに変えるためのお守りです。
【1】何に対して請求するのか
善良なクレーマーになって
トラブルを1万円に変える上で、最も大切なこと。
それは、
「何に対して、金品を請求するのか」
例えば、「お前の接客態度が気に食わない!」なんて悪質クレーマーも良いところです。
善良なクレーマーが指摘するのは、
「客観的な問題点」です。
具体的に言うと次の3つ。
- 想定していたモノではない
- 約束の時間に完成しない
- 損害を受けた
この中の1つでも当てはまれば、善良なクレームを言うに値する。
加えて、その1つがあまりにも大きい。或いは、2つ以上満たしたのならば「プラスα」を請求しても良いのです。
1-1.想定していたモノではない
クレームを送る基本ですが、
同時に最大の難所でもあります。
例えば、
「居酒屋のビールが不味い」
これはクレームになり得ません。「不味い」は主観であり、お店側からすれば「想定通り」な訳です。
反対に、
「ビールを頼んだのに、ハイボールが来た」
ならばクレームになり得ます。
もちろん、この程度のミスで対価は要求できませんが、作り直しを依頼するのは当然のこと。
ポイントとなるのは、
「合意した内容が守られなかったこと」です。
悪質クレーマーと比較するなら、次の通りです。
【悪質クレーマー】
自分の期待に応えなかった
【善良クレーマー】
合意した内容が守られなかった
似ているようで、この2つは全然違います。
1-2.約束の時間に完成しない
「想定していたモノではない」と並ぶ
大きなクレーム要素が「約束の時間に完成しない」です。
これも分かりやすいですね。
日常生活を送っていると忘れがちですが、全ての売買には「期日」が設定されています。
例えば、ビール1杯600円
これはビールそのものを買っているように見せかけて、
「ビールを、10分以内に提供する」
という権利を買っている訳です。
だって、ビールが出てくるまで3時間経ってたら意味分からないですよね?
ただ、「想定していたモノではない」でも解説した通り、
10分以内の提供は「合意していた内容」ではありません。暗黙の了解で「自分が勝手に思い込んだ」だけです。
そのため『ビールの提供が遅れた』だけで大きなクレームにすることは出来ません。
ただし、「新築一戸建て」などの大きな買い物が数年単位で遅れた場合は話が別です。
覚えておいてください。
全ての売買は、
「想定したモノが、約束の時間に完成する」
を基本としています。そのため、このどちらか。或いは、双方が守られなかったときはクレームの対象になり得るのです。
1-3.損害を受けた
こちらもクレームとしては分かりやすいですね。
ただ、ここまでに紹介した「想定していたモノではない」「約束の時間に完成しない」は契約の不履行ですが、
「損害を受けた」は、
「実際に失ったものがあるとき」に適用されます。
例えば、
「ビールを服にこぼされたとき」
これは明確にクレーム対象です。どこまで請求するかはあなた次第ですが「服を来店前の状態に戻す金額」を請求するのは全く問題ない。
一般的にはクリーニング代。
場合によっては「新しい服を買うための代金」です。ビールと一緒に油物をこぼされたら元には戻りませんからね。
まずはしっかり
「ビールをこぼされる前に戻すために必要な金額」を請求するのです。
「クリーニング代として3000円ください」
「油汚れは落ちないので、新品を買ったとして1万5000円ください」
あなたは、受けた損害をフラットにする権利を持っています。
1-4.感情はプラスα
善良なクレームの入口は「客観的な事実」です。
しかし、プラスαとして「主観」や「感情」を伝えるのは悪いことではありません。
例えば、ビールの話の続きです。
「お気に入りの洋服にビールをこぼされた」
「実費としてクリーニング代をもらった」
これって、まだ損してますよね?
デートだったら雰囲気台無し。友達と楽しく飲んでたら空気が壊れる。帰りの電車はビチャビチャの服。クリーニングに持っていく手間も…。
実費の補償は当然です。
そして、損害に付随する"もやもや"も、あなたが抱える必要はない。
請求の入口は「客観的な事実」です。
しかし、「事実」があるのなら、そこに「感情」を乗せるのは悪いことではありません。
これも善良なクレームなのです。
【悪質クレーマー】
主観的な感情だけでクレームを入れる
【善良クレーマー】
客観的な事実を入口に、感情を加えたクレームを入れる。
もう一度、私たちが善良なクレーマーとして動ける根拠を提示します。
- 想定していたモノではない
- 約束の時間に完成しない
- 損害を受けた
この3つにプラスして「感情論」です。
忘れないでください。
クレームの入口は「客観的な事実」のみ。
そこを忘れた瞬間に悪質クレーマーになってしまいます。
【2】善良な交渉の基本方針
ここからは、実際に交渉を行う上での"コツ"を解説します。
ポイントは5つ。
- 交渉する相手を選ぶ
- 意思表明をする
- 実害を伝える
- 要求するモノ、しないもの
- 謝罪は受けず、お礼はする
それでは、1つずつ解説します。
2-1.交渉する相手を選ぶ
交渉は、必ず決裁権を持った人間と行います。
例えば、ビールをこぼしたのはバイトの大学生でしょう。
でも、バイトの大学生に冷静に話しかけても意味がありません。
クリーニング代を払う権限を、バイトは持ってないからです。
そのため、
善良なクレームを入れるときは、落ち着いてから必ず伝えます。
汚れた衣服について、
弁償に関する話があるので"決裁権を持つ人"を呼んでください。
居酒屋に限らず、
あらゆる交渉ごとの基本です。
ただ、勘違いしないで欲しいのは、
「お前じゃ話にならん!上の者を出せ!」みたいな悪質クレーマーとは動機が違うということ。
我々は、
お店側の"やらかし"について正当な対価を求める善良なクレーマーです。
対価を求める上で、決裁権を持たない人間と交渉しても意味がありません。
「上の者を出せ!」と言っても上役は出てきませんが、
「決裁権を持つ人間を出してください」と伝えると高確率で出てきます。
2-2.意思表明をする
これ、地味に大切なことです。
交渉をする上で、あなたの気持ちを明確に表明すると話が進みやすくなります。
つまり、「ビールをかけられた」ならば、
【怒っている】
→楽しく飲んでいたところをお気に入りの服を汚されて怒っている。
【悲しんでいる】
→びちょびちょの服のまま電車に乗らないといけないから悲しい。
これを冒頭で伝えます。
「私は怒っています」或いは「私は悲しんでいます」と。
あなたがマイナスの感情を持っていると伝えることで、
お店側は「何らかのプラスを与えなければいけない」と考え話がスムーズになります。
2-3.実害を伝える
マイナスの感情を伝えたあとは、実害(実際の被害)を伝えます。
ここで大切なのは、
「要求」に必ず「実害」を伝えること。
感情 → 要求
だと「根拠のない要求」をする悪質なクレーマーです。
善良なクレーマーは「実害(根拠)」に対する「要求」を行うのです。
そのため、
感情 → 実害 → 要求
この順番は必ず守らなければいけません。
例は先ほどから同じ。
「ビールをかけられた」ならば、
店員のミスで服がビールまみれになった。
この服はスーツで、上下で5万円である。匂いが付くからクリーニングに出さないといけないし、最悪は買い直しかもしれない。
このように伝えます。
よほどの汚損でない限り買い直し請求は過剰ですが、
対象物の新品価格を提示することで、お店側にしっかりと"失敗を認知"してもらいます。
2-4.要求するモノ、しないモノ
さて、いよいよ実際に何かを要求するのか。
もちろん、
タイトルで書いたように「1万円」をベースにするのですが、ひとつ大きな注意点があります。
基本方針として、
「現金は要求しない」
これを忘れないでください。
と言うのも、
「現金をお客さんに渡す」って、お店側からすると面倒臭いんです。
個人経営の居酒屋ならまだしも、
企業運営ならばお金の出入りは正確に記録しないといけない。
社長と交渉するなら良いのですが、
現場トップの人間相手だと「弁償する」よりも「普段は動かない現金の出入り」を極端に嫌がるのです。
そのため、要求するべきものは次の2つ。
【1】価格の割引
→クリーニング代を3,000円と仮定するなら、会計から3,000円を割引してもらう。
【2】物品(サービス)の提供
→3,000円分のお酒や料理を追加してもらう。
この形であれば、
現場判断で「記録に残さない」で対応できる。
我々からしても、
現金をもらわずともクリーニング代をもらえたのと同じです。
これ、お店側も意外と気付いてないんです。
「現金は絶対に渡せない…!!」と考えていても、
クリーニング代として3,000円を負担してもらえませんか?
とは言え、現金はややこしいと思うので、今日の会計から3,000円分引いてください。
こう伝えることで「割引なら仕方ないな…」とあっさりOKしてくれることも多いのです。
2-5.謝罪は受けず、お礼はする
善良なクレーマーになるために、大きなポイントがあります。
謝罪は、いらない。
他人の謝罪の言葉、
ましてや土下座なんて1円にもなりません。
我々が求めているのは「謝罪」ではない。
「実害を補填し、傾いた気持ちをハッピーに終わらせること」です。
むしろ謝罪で終わらせようとする悪人には気をつけてください。
悪人は、自分が頭を下げて済むならどれだけでも頭を下げてきます。それこそ、土下座してくるかもしれない。
拒否してください。
あぁ、そんなに謝らなくても大丈夫ですよ。
それより、実際にどう対応して頂けるかの話をしましょう。
こう伝えるだけで、お店側も「謝罪では解決しない」と理解します。
そして、我々は善良なクレーマーです。
もし、お店側の対応が素晴らしく「実害が補填され、傾いた気持ちがハッピーになった場合」は、必ずお礼を伝えましょう。
どうなることかと思いましたが、
真摯に対応して頂けたので気持ちよく終わることが出来ました。ありがとうございます。
繰り返しになりますが、我々は善良なクレーマーです。
お店側のミスには対応を求める。
しかし、お店側がミスに然るべく対応をしてきたのなら、最終的にフラットに戻る。
その場合は、お礼を伝えて当然です。
【3】交渉実例の紹介(金額つき)
ここからは、私が実際に遭遇した日常のトラブルを紹介します。
ここまで例に出してきた「居酒屋でビールをかけられた」も経験談です。
「新築一戸建のトラブル」では180万円ほどの対応になっています。
紹介するトラブルは4つ。
- 居酒屋でビールをかけられる
- 新築一戸建ての外壁に黒い線
- 温泉ヴィラで車にゴミが散乱
- 間違ったカーテンが3回届く
当時の雰囲気が伝わるように
エピソード風に分かりやすく紹介しています。
お店側の反論や対応も載せているので、
実際にどんな風に話し始めるのか。しっかりと伝わると幸いです。
3-1.居酒屋でビールをかけられる(1万2000円)

ここまで例に出してきた
「居酒屋でビールをかけられた」は、私の体験談です。
厳密に言うと、
私と部下2人が飲んでいたときのこと。部下のスーツに向かって、アルバイトの学生がビールをこぼした。おまけに、テーブルの上にあった豚キムチを巻き込みながらこぼしたのです。
学生バイトは、必死に謝りながら大量のおしぼりを持ってきました。
こぼれたビールを拭き終わったおしぼり持って裏に戻ったとき、
まだ20代後半の部下は大きなため息をつきました。
「最悪ですよ…クリーニング出したとこなのに…」
私が何気なく「クリーニング代くらいもらったら?」と伝えると、
彼はもじもじと「こういう時ってもらえるんですか?」「ビールかけられたことなくて…」などと言い始めたため、私が代わりに交渉することに。
スーツが上下で50,000円。
いつも使ってるクリーニングは白洋社で上下5,000円なことだけ確認すると、戻ってきた学生バイトに伝えました。
もう謝らなくて大丈夫です。
怒ってはないので。ただ、汚れた服についての話があるので、今お店にいる役職が一番上の人を連れてきてください。
正直、私はちょっと嫌な店だなと思っていました。
だって、ビールをこぼしたのはカウンターの中にいる貫禄のある板長も気付いているはずなんです。それなのに、謝罪を全てバイト任せにして出てくることもない。その対応は"不誠実"と言わざるを得ない。
ほどなくして、やはりその板長がテーブルにやってきました。
ここからは交渉内容だけを端的にお伝えします。
お聞きだとは思いますが、
我々が楽しく飲んでいるところをスタッフの方にビールと豚キムチをこぼされました。
当然、そちらの一方的なミスなので一定の補償を求めます。
まずは事実と感情を伝える
こぼされたスーツですが、
上下で5万円らしいです。ただ、もちろん新品価格の5万円を払えなんて言うつもりはありません。クリーニング代を頂けるでしょうか?
新品価格を提示して相場感を高く設定させる
クリーニングはいつも白洋社を使っていて
スーツ上下で5,000円です。(スマホで料金画面を見せながら)まず、こちらの支払いは大丈夫ですか?
現金がややこしければ、会計からの割引で構いません。
最低限のラインの言質を取る
ここからは相談なのですが、
一緒に豚キムチをこぼされています。ビール汚れは確実にとれますが、油汚れは落ちないかもしれませんよね…。落ちなければ、スタッフの方の一方的な過失で彼は5万円のスーツを失うことになる。
ふわっとした実害をちらつかせる
我々も楽しく飲んでいたところに水を差されました。
おまけに、彼は帰りの電車を股間ビチャビチャのまま帰らないといけない。
感情面をプラスする
そこでお願いベースになるんですが、
「油汚れが落ちないリスク」と「我々の気持ち良い飲み会を壊した点」に関して、さっきから飲んでる日本酒を一合ずつサービスしてもらえませんか?
根拠はないが納得いくラインを提示する
貫禄のある板長は、
私の言葉をひとつも否定せずに謝り、要求を飲んでくださりました。私は間髪入れずに伝えます。
ありがとうございます。
こちらのお願いを飲んでくださるのであれば、本当にもう大丈夫ですので。そんなに謝って頂かなくて大丈夫です。
要求を飲んでくれたのでお礼を伝える
ここで驚いたのが、その後。
板長自ら獺祭を3合持ってきてくださったときに、こんな言葉を頂いたのです。
白子ポン酢とかお好きですか?
あ、いやすみません。そちらの方のお話が本当その通りだなと思ったといいますか…。楽しい場所を壊したお詫びの日本酒にアテがないってのも失礼かと思いまして…。
「好きです」と伝えるとすぐに白子ポン酢を3人前持ってきてくださったのです。
帰りの間際に少しお話したのですが、
開店から6年。こんな盛大にビールをこぼしたのは初めてで、板長もどう対応しようか困っていたらしいのです。
善良なクレームは、
クレームを伝えられる側にすら「正当な要求を分かりやすく言って頂いてありがとうございます」と感謝される。
そういった経験でした。
3-2.新築一戸建の外壁に黒い線(180万円)
ある地方都市の主要駅から程近い住宅街。
ここには高齢の親戚が住んでいます。近しい身寄りはいないので、私はたまに顔を出していました。
3年ほど顔を出せなかった、ある時。
久しぶりに尋ねると驚きました。家が新築になっているのです。
ところが、親戚の顔は曇り空。
聞けば新築を建てるにあたってトラブルがあったそう。
外壁に黒い線があって、消えないのよ…
外に出て見てみると、真っ白な外壁に一本の黒い線が。
話を聞いてみると、工務店の施工ミスらしく何度業者に掃除してもらっても消えないとのこと。


(※外壁は「コーキング」と言われるペースト丈の充填材を使うことが多い。この家はコーキングの必要ない外壁だったが、施工ミスで一筋だけコーキングを入れてしまった。真っ白で粘着性のあるコーキングのため、一定期間で空気中の汚れが粘着して黒い筋になる。コーキング箇所は溝になっているため完全には取れず、掃除しても掃除しても2ヶ月で黒い線に。)
工務店は真摯に対応してくれているとのこと。
ただ、「外壁に黒い線が現れる度に表面を掃除する」を繰り返しているため、もう2年間もイタチごっこを繰り返してる。
第三者から見れば「言われなければ分からない程度」だが、
その工務店のウリが、
「継ぎ目のない真っ白な外壁」
だったため、親戚も納得はしていないようだった。
とは言え、たかだか一本の黒線のためにもう1年。
親戚も疲れ果てており、一定の金銭や物品を持たしてくれるならそれでもOKとのこと。
親戚の方針だけ確認して、私が交渉役となった。
まず、お尋ねしたいのですが、
契約時にお約束していた「真っ白な外壁」にするために尽力してくださると認識でよろしかったでしょうか?
工務店の立場と方針を明確にする
工務店は、
「約束する」と明言してくれました。
ありがとうございます。
ただ、もう2年近く、清掃を繰り返していると聞いています。これ小手先の対応じゃ解決しませんよね?
とは言え外壁の貼り直しは100万円単位のご負担になると思いますし…どうでしょう?
親戚は私が説得するので
いくらか土産を出して頂いて現状のまま早期解決に向かって頂けませんか?
金額は…そうですね…
外壁の貼り直しに必要なご負担額の半額ほどでは如何でしょうか?
譲歩した上で要求をはっきり伝える
ところが、工務店の返事は渋いものでした。
だって建築代金は既に支払い済みなのです。もう建築代金の割引も出来ないし、先ほども解説したように、企業が現金を出すのはハードルが高い。
おまけに問題箇所は、ただの「一本の黒い線」なのです。
工務店が出した結論は、
「あと半年、時間をください。黒くなる箇所を消し続ければ、いずれは綺麗になると思います」
でした。
私も技術的なことは分からないので「必ず白くする」と言質を取り、社長からも直接電話を頂いて退散しました。
1年後…。
「申し訳ないんだけど、まだ解決してなくて…」と親戚から電話がかかってきたのです。
私は再び交渉に訪問しました。
まだ解決してないと聞きました。
流石にもう新築完成から3年です。親族も疲れ果てていますし、私もここまで解決してないと怒りを覚えます。改めてお考えを聞かせてください。
「疲れている」「怒っている」と感情を伝える
工務店は観念したように、
「外壁の貼り直しを行う」と答えました。
工務店からすれば150万円ほどの出費です
たった一筋のコーキングミスから考えると、真摯な対応と言えなくもない。
新築完成直後なら、です。
残念ながら、もう完成してから3年。何ヶ月もトラックが出入りし、どうなるかドキドキして待っている老夫婦の負担を考えると、もうフラットに戻すだけじゃ納得いきません。
ありがとうございます。
外壁の貼り直しの申し出は喜んでお受けします。
ただ、申し訳ないんですが、もうそれだけの段階じゃないんですよ。
契約と言うものは、
「約束していたモノを、約束の時間に届ける」ですよね?
ここまで、お分かり頂けますよね?
工務店の不備を改めて冷静に伝える
新築の完成は3年前だったんです。
それを3年間も待たされた。3年後に「完成」を用意されても、約束は果たされてないんです。
もちろん、大きな買い物ですし、
これまでは完成だけでOKでしたが、流石に3年も待たされると話が変わります。
想像してください。
「新築の家が建つ」と楽しみにしてたのに、完成してから何度も何度も工事車両が出入りする。ご近所の方から「欠陥住宅…?」と思われる恥ずかしさを。
小さな住宅街の、老夫婦です。
そういうのが一番苦しいんですよ。
工務店の不備と付随する感情を端的に伝える
担当者は何度も謝りながら、
「本当に申し訳ありません。ただ、その…いわゆるお詫びとしての現金は当社の規定でお渡しできない決まりでして…」と先に釘を刺してきました。
いえ、現金が出せないことは
以前のお話の雰囲気から察しております。
そこで提案なのですが、
そちらの工務店、今は新規の注文住宅の成約キャンペーンで「家電」や「ガジェット」「家具」「カーテン」などをプレゼントされてますよね?
既に存在する在庫を
お詫びとして数点、こちらに回して頂くことは可能ですか?
この着地点を想定して下調べしてきた要求を提案する
これまでお詫びの一辺倒だった担当者が、
(それならいけるかも…)という顔をしたのを、私は見逃しませんでした。
申し訳ないんですが、
今この場で社長さんに電話して確認してもらえないですか?
具体的な商品は現時点では指定できないですが、
3年間の遅延なので…ざっくり30万円分前後を希望します。
あと、本当に申し訳ないんですが、
こちらも怒ってますので、もし担当者さんの電話で「No」と言われましたら、こちらから直接社長さんに交渉させて頂きます。
交渉の長期化を防ぐため、その場で結論を求める
結果は「OK」でした。
工務店も揉めることは望んでおらず、
「30万円分の商品」は仕入れ値で言えば20万円前後。落とし所として丁度良かったのでしょう。
1ヶ月後には外壁の貼り直し。
同じ時期に親族が選んだ30万円分の家電が届きました。
3-3.温泉ヴィラで車にゴミが散乱(2万6000円)

数年前、
私は一棟貸しの温泉ヴィラに宿泊していました。
このヴィラの特徴はなんと言っても「プライベート空間」です。
全ての建物には「温泉」と「プール」が付いていて、同伴者と一緒にいつまでもゆっくりできる。
広大な敷地は自家用車で移動するため、
ヴィラの前には駐車場スペースがありました。トラブルはそこで起こります。

久しぶりの休暇です。
プールで泳いで、美味しいものを食べて、温泉にゆっくり浸かる。
翌日
チェックアウトのため敷地中央の管理棟に向かおうとすると、車の様子がおかしい。
車のボンネットの上に、
小さな木の枝やドロの塊が散らばっているのです。

何が起きたか分かりませんでした。
ただ、どう考えても自然に飛んでくる量ではない。私は慌てて、管理棟に連絡しました。
責任者は驚き、謝罪しつつも伝えてきたのです。
「申し訳ありません。駐車スペースでのトラブルはお客様同士での解決をお願いしておりまして、会社として介入することは出来ない規則でして…」
驚きました。
確かに、こんなことが自然に発生する訳がない。責任者は言いづらそうに「他のお客様のイタズラかと…」と伝えてきたのです。
もちろん、そんなことされる心当たりはない。
ただ、プール付きのプライベートヴィラ。昨日から敷地内で飲んで騒いでる人間は見かけていました。
心当たりがなくとも、こういうこともあるか…。
証拠がない追求は無駄である。
私は事故にあったものだと諦め、道具を借りて洗車を始めた。幸いにも、散乱していたのは随分小さな木の枝や泥クズだったのではっきりと認識できる傷はなかった。
とは言え、小一時間である。
せっかくの旅先での休暇を、どうして朝から洗車しないといけないのか…。
チェックアウトの時間は伸ばしてもらえたのが幸いである。
ため息をつきながら洗車していると、隣のヴィラから出てきた腰の曲がった清掃スタッフと目が合った。私が軽く会釈すると、老人は声をかけてきた。
「うわー、派手にやられましたね!この木屑、全部ですか?」
そうなんですよ…。
ほんと困った人がいるもんで…。私が適当に流そうとすると、老人は笑いながら答えた。
「鳥でしょ?ほら、この上にいっっつも下手くそな鳥がいるんですよ!」
鳥…?
駐車場の天井を見上げると、崩壊した鳥の巣が見えた。
私は、冷静に尋ねた。
この鳥の巣は、いつもあるんですか?
いつもあるならヴィラ側の過失である
「いつもって訳じゃないけど、この時期はよくありますねー!」
老人は、私の怒りに気付かずに元気に話してくれる。
そうなんですか。困っちゃいますよね。
えっと、すみません。あなたのお名前は…?
言質を取る人間の名前を確認する。可能なら使わないが念の為
「いつもある鳥の巣」となると、話は変わってくる。
「客のイタズラ」ならヴィラに責任を追求する訳にはいかない。
しかし、「いつもある鳥の巣」が原因ならば、明確にヴィラ側の過失だ。
私は管理棟に向かった。
責任者は先ほどと変わらず愛想良く話しかけてくる。
「車にキズなどはありませんでしたか?」と、こちらを気遣っているようだった。
傷はまぁ…あると言えばあるんですが
もう3年目の車ですし、厳密に今回のトラブルでの傷かは分からないですよね。ただ、車には詳しくないんですが、あんな土や泥を被ってあとから故障トラブルが起きないか心配です。
傷や故障の可能性を匂わせる
責任者は「そうですよね…」と神妙な面持ちで相槌を打つ。
ところで、今回のトラブルの原因なんですけどね。
駐車場の屋根を見ると、壊れた鳥の巣があったんですよ。
でね、スタッフの方にお聞きすると、よくあるとのことで。
他のお客さんのイタズラならあなたに責任を求めるのもおかしいと思ってましたが、鳥の巣なんですって。
知ってました?
巣を作るのが下手くそな鳥がいつもいて、定期的に残骸が散らばってることを。
知ってて隠した可能性があるため高圧的に説明する
「あ、いや…」と責任者の目が泳いだ。
畳み掛けるタイミングは、ここである。
少なくとも、清掃スタッフの人は把握してるんですよ。
であれば、鳥の巣が散乱する可能性がある場所に、なんの対策もせずに客の車を停めさせてる訳でしょう?
こうなってくると、そちらの過失ですよね?
厳密に車のキズの話になると水掛け論になりますが、人の車にゴミぶっかけて、朝から洗車して、故障するかもって不安になって、今日の予定は狂って。
流石に何かしらの対応は頂けないと納得できないです。
ここで「キズ」や「故障の可能性」の前フリに繋がる
ここで責任者は驚くべき対応に出た。
「えっ、じゃあどうしろって言うんですか?土下座でもすれば良いですか??」
逆ギレである。
それまでの愛想の良さはどこに行ったのか。
しかし、土下座なんて頼まれてもいらないのである。
えぇ…いや土下座とかされても1円にもならないのでいらないですよ
「申し訳ないんですけど!現金とかそういうものはお出しできない規則なので…!!」
責任者、
さっきから急にテンション爆上がりである。
あまりのテンションに恐怖すら感じたが、
こちらは堂々と要望を端的に伝えるのが交渉のコツでもある。
落ち着いてください。
現金を出せなんて言ってませんよ。
こちらの要望なんですが、
宿泊金額からいくらか割引にしてもらえないですか?
お会計はまだですし、
例えば…サービスプランとか、人数を減らすとか、そういった会計にすることで、…(責任者の名前を名札から読み取る)◯◯さんもスムーズに手続きできませんか?
こちらとしては…そうですね…
1万円~2万円ほど引いてもらえれば、わだかまりなく終われます。
要求の金額と会社の手続き上の提案も同時に行う
責任者の顔が一瞬固まった。
数秒ほど目を合わせると
「少々お待ちください…!!」と机のパソコンを叩き始め、ものの20秒で答えを出した。
「では、2万6000円減額でどうでしょうか?」
えぇ…思ったよりいきますね…。と苦笑いしていると「丁度良いプランがあったので、はい!」と何なら上機嫌な様子。
機嫌の乱降下がちょっと怖いくらいである。
ただ、こちらとしても、
小一時間のトラブルで4万2000円なら悪くない着地点と言える。
そこからは談笑です。
責任者の方は、本当に鳥の巣であることは気付いていなかったそう。
ただ、鳥の巣の報告は受けていて、いつもは「小さな枝が2,3本」なので今回は結び付かなかったのだとか。
そして、悲しいことに。
この方は悪質クレーマーの対応で「土下座」や「服のままプールに飛び込まされる」などの経験があったそうです。
最後は、随分ぶっちゃけて話してらっしゃいました。
お客様のお言葉は本当に助かりました。
いや、こちらの過失なのでなんらかの対応はもちろんさせて頂きたいんです。正直、このご時世ご不満を持って帰られるとSNSとかレビューとか怖いので…。
でも、お客様の要求の大半は「現金」か「無茶振り」なんですよね…。
現金は原則出せないので、そうすると「土下座」とか…「一発芸やってプールに飛び込め」とかもありましたよ…。
そもそもはこちらの過失がありますし、みなさんお酒を飲んでいらっしゃるので仕方ないんですが…。ちょっとしんどい時もありますね…。
それで…すみません。
本当ちょっと先週もキツいお客様がいらっしゃって、さっきは「またか…」と思って何か変なテンションになってしまいまして。申し訳ありませんでした。
なので、あの、今回は本当にありがとうございました!!
もしお部屋や料理には満足いただいていましたら、ぜひまたご利用ください。
責任者はそう言って私の車を見送ってくれました
3-4.間違ったカーテンが3回届く(2万円)
その年、
私は新しいマンションに引っ越した。
かなり、頑張っていた。
長年仕事に打ち込み、そろそろ住居に課金しても良いころかと思ったのだ。
家具や家電にもこだわった。
カーテンはオーダーのプリーツスクリーンを採用した。

引越しの翌日。
設置業者とともにカーテンがやってきた。
各部屋に順調に設置していくと、
業者のお兄さんが困った顔をしてやってきた。
「すみません。これ、仕様書と色が違う気がするんですが…」
その通りだった。
グレーとホワイトの組み合わせのはずが、オールホワイトのものが届いていた。
えっと…この場合どうなります…?
私が尋ねるとお兄さんは気まずそうに答えた。
「もちろん、新しく発注させてもらうんですが…その…オーダーなので1ヶ月くらい見てもらうことに…本当に申し訳ありません!!」
1ヶ月カーテンがない暮らし…。
正直ちょっと困るが、ミスは誰にでもある。ましてや、ミスそのものはメーカーの不備だし、目の前の現場スタッフを責めても仕方がない。
私は、1ヶ月後の到着を了解した。
そして、仕事のできるお兄さんである。
実際には2週間で届いた。納期を長めに言っておくことで、到着時の満足度を上げる。基本であるが、素晴らしい対応だ。
「先日は本当に申し訳ありませんでした」と再び部屋に入ってくるお兄さんの顔は、開封と同時に青ざめた。
スクリーンの中央部が、10cmほど裂けているのである。
そのままでも機能性は問題ないが、どう見ても裂けている。不良品である。
「本当に申し訳ありません!!」
力強く頭を下げるお兄さんをなだめ、私は尋ねた。
再発注はもちろんお願いしますが、
その不良品のスクリーンとりあえず設置していってもらえないですか?カーテンない生活がしんどいので…。
お兄さんは再び頭を下げて気まずそうに答えた。
「実はその…不良品は再発防止のために即刻メーカーに送り直す決まりでして…本当に申し訳ないです…!!」
渋々、了承した。
私はお兄さんに「設置に来る前に開封して不良を確かめてほしい」とお願いし、再び到着を待った。
残念ながら、次は3週間後だった。
お兄さん曰く、再発防止のために同メーカーの別工場に発注したとのこと。
3度目の正直である。
工場での検品に加え、今回はお兄さんも事務所で開封して確認してくれたそうだ。
色は良し。
キズや裂けもなし。
「本当に申し訳ありませんでした!今回は大丈夫です!!」と意気揚々と設置するお兄さんの目の前で、
スクリーンの端が折れた。
お兄さんの施工ミスではない。
どうも最初から折れかけていたようだった。ふたたび、不良品である。最初の発注ミスも含めれば3度目だ。
「本当に!申し訳ありません!!」
見慣れたお詫びもそこそこに、私はいつもと違う話を始めた。
流石に、3度目なので要求を出します。
まず、私はあなたの会社を通して注文をしています。
不備そのものはメーカーの責任ですが、私が契約してるのはあなたの会社だけなので、私の要求は全てあなたに伝えます。
メーカーに責任があるなら、
それはあなたの会社とメーカーで話し合ってください。
不良が2度続いたので、同じ製品を発注するのは怖いです。
なので別製品をお願いしたいのですが、
私は最初の色ミスも含めて3度の間違いに付き合っています。
この不備への対応として、
別製品との間に差額があっても、そちらで負担してください。
あと、
もう流石にカーテンのない暮らしが嫌なので、最速で用意できるカーテンを本製品到着までの間に貸してください。
もし、あなたに決裁権がないのなら、
直接お話するので今ここで決裁権のある方に電話してください。
お兄さんは「自分の責任で対応する」と明言してくださり、
その場で全て了承してくれました。代替品のグレーのカーテンは次の日にお兄さん自ら届けてくださり設置。
新しく発注したスクリーンは、
当初のものよりグレードが上がってプラス2万円。こちらはなんの不備もなく設置が完了しました。
まとめ
善良なクレーマーが追求するのは感情"だけ"ではありません。
「想定したモノではない」
「約束の時間に完成しない」
「損害を受けた」
この3つにプラスαで「感情論」を出す。
そして、実際に交渉を行うときは、
- 決裁権のある人間と交渉する
- 意思表明をする
- 実害を分かりやすく伝える
- 現金は要求しない
- 謝罪は受けず、お礼をする
この5つを覚えておけば、スムーズに話を進めることが出来ます。
最後に、大切なことなので、
この記事の目的をあらためてお伝えします。
「実害を補填し、傾いた気持ちをハッピーに終わらせること」
あなたの人生が
この記事によって少しでもハッピーになることを祈っています。